篠田学園-1部-
2
冗談のつもりで言ったのに、まさか本当に酔っているとは思わなかった。
通りで、先に飛行機から降りているはずだ。
心なしか青白い蓮に対して秀は、更に上機嫌に口笛を吹いている。
「会長様が飛行機酔いっ
いいざま〜♪」
…て、性格悪ぃな、オイ。
「今まで海外旅行とかどうしてたんだよ?」
「寝てた」
「今日も寝てりゃ良かったじゃん」
「うっせ、隣で泣き笑いしながら寝てた奴にゃ言われたくねぇよ」
「はあぁあ?」
何なんだこいつ。
訳わかんねぇ。
俺が半ば無意識に睨み付けようと顔を上げた時、目に映ったのは微かに頬を赤らめた蓮。
「え…?」
「…んだよ」
「会長てそんなキャラ?」
「知るか」
理由はわからないが顔が赤い蓮が、何故だか可愛く見えたのは俺の目の錯覚であって欲しいと思った。
それはもう、切実に。
「蝋人形の館もどき行きてぇ」
「あぁ、行く?」
「いいの?」
「ん〜多分」
空港から乗り込んだタクシーの中。
今、俺達は前の席に秀、その後ろに俺で俺の隣に蓮という、前代未聞の配置で座っている。
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