篠田学園-1部-
出来れば会いたくなかったよ。
「おら、着いたぞ」
不意に秀に声を掛けられて意識を浮上させる。
「あ゛、寝て……」
視界がはっきりしないうえに、先程より更に頭が痛い。
「爆睡、笑いながら泣きやがって…めちゃ怖かったし」
俺の荷物を持ち、立ち上がる秀に習って俺も立ち上がった。
蓮は既に飛行機から降りて、遠くで俺達を待っていた。
秀は窓際だから俺が降りないと降りれないんだ。
飛んでる間の記憶が無いから、きっと俺が邪魔でトイレにも行けなかっただろう。
ごめん、秀。
「ほらほら早く降りないと」
秀に急かされて飛行機を降りる。
引率の先生に誘導されて空港から出ると、そこは2年程前に後にしたイギリスの大地。
《来ちゃったよ…》
思わず口から出た呟きもついつい英語になる。
「お前、イギリス育ちだよな〜自由行動ん時、いい店教えろよ〜?」
「もちVv」
変に上機嫌な秀につられて俺もテンションが上がる。
しかしそれも、隣に立つ男の辛気臭いどんよりとした空気によって、直ぐに元のテンションに戻る。
「…んだよ会長、飛行機酔い?」
「……悪ィか」
「え、まぢで??」
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