篠田学園-1部-
2
それからは夜中に無断で抜け出す事が多くなった。
一度も外に出た事のない俺だから、許可なんか出してくれる訳無いって思ったし。
で、そこで見つけたのが“Home”ってバー。
《いらっしゃい、新入りか〜?》
入って直ぐに声を掛けられた。
声の主はバーカウンターの中に立つ、やけにガラの悪いおじさん。
《ここ、何?》
《あ?バーだよ、つかガキ、親が心配すんぞ》
かっかっかっと笑う男に手招きされて目の前の椅子に座った。
《心配してくれる人なんかいない、多分いない事気付いてないし》
《そりゃ寂しいな、じゃ俺が親父んなってやる!!》
《馬鹿でしょ、追い出さなくていいの?》
《親父んところから追い出す必要あるか!!!!
俺ゃお前くらいの息子が欲しかったんだ》
更に笑う俺の頬は真っ赤。
相当の量を呑んだんだろう。
マスターなのに酔ってんのはどうかと思うが、何故か嫌悪感はなかった。
それから俺は毎日Homeに顔を出すようになって、マスターとは本当に仲良くなった。
それが、俺とマスターの出会い。
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