篠田学園-1部-
2
「来学期から転入、今学期は今の学校だから」
何故?そう聞く前に自然な動作で唇を重ねられた。
これは確実に誤魔化そうとしている。
勇は自分に不都合な時は必ずと言っていいほど、色気で誤魔化す。
それは時には最後まで流されてしまう程で。
「今日はやんないから」
「つれないな、俺と馨夜の仲だろう?」
少し悲しそうに言う勇に、俺は絶対騙されないぞと心に決め、覆いかぶさって来そうな勇を押し返した。
「全寮制なんだろ?いつでも出来んじゃん」
「俺は忙しいんだよ」
だったら今こんなことしてないで仕事してろよ。
溜め息をつきながら言う勇に、俺は内心で悪態をついた。
そんな俺に気づいたのか、勇は体を退かし近くの俺のベッドに腰を下ろした。
「そうそう、そこの紙袋を開いてご覧」
クスリと笑みを浮かべ、机の上を指差す。
いつの間に置いたのか疑問に思いつつも中を覗き、俺は目を見開いた。
「か、つら…?」
「うちの学校、黒翼の幹部勢揃いしてるから」
ニッコリと爽やかな笑みを浮かべた勇に、俺の思考は完全にストップした。
そもそも、俺はButterflyって言う族の総長だった。
“だった”っていうのは、今はもう止めたからそう言う訳で。
取り敢えずその話しは追い追い話していこうと思う。
で、そのButterflyのライバル的存在が黒翼。
一応俺達の方が強いんだけど、なんせ総長がしつこい。
初対面でいきなりキスされて、普通俺のこと好きなのかなー?て思う所だけど、こいつは違う。
2回目に会った時突然喧嘩を仕掛けられた。
俺のイメージでは完全に喧嘩中毒者だ。
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