篠田学園-1部-
3
「篠田お前、メイド服じゃないのか?」
ホール近くの更衣室。
俺が至極当然のように着物を取り出したのを見て、委員長は首を傾げる。
「違うっぽいね〜
なんか今日はVIPの相手だけしてりゃいい…って暁に言われた」
「ずりぃな」
「ずりぃよな」
今日の朝、早めに来てしまった俺は朝っぱらから暁に絡まれた。
内容はたいしたこと無いのに、周りに誰もいないからって暁が調子こいて俺を押し倒したんだ。
勿論、大事な一物を蹴らせて頂きました。
相当痛がってたけど、まぁ自業自得だ。
俺は手早く制服を脱ぐと慎重に包帯を巻き、着物を羽織った。
湿布の上から巻く形となった為、多少蒸れるがこの際そんなこと言ってる暇はない。
「篠田って服で印象変わるよな…」
予め用意されていた黒髪長髪の鬘を被ろうとした時、不意に委員長が呟いた。
「は?」
「だってさ、普段は冷血って顔してるくせに眼鏡取ると美人だし、メイド服着ると可愛いしスーツ着ると…」
「あ〜そこまでっっ」
恥ずかしい事を坦々と言ってのける委員長に、俺の顔はさぞ真っ赤なことだろう。
「褒めてんのに…」
「恥ずいっての///」
「何で、喜べよ」
分かった事が一つ。
委員長は天然だ。
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