篠田学園-1部-
4
蓮 Side
文化祭の3週間程前。
生徒会に滅多に顔を出さない正俊が、上機嫌で生徒会室にやって来た。
横を通り過ぎた時、微かに煙草の香がしてかなり驚いた。
正俊は学校じゃ煙草を吸わない。
校則を守ってるとかじゃなくて、単に持って来るのが面倒臭いから。
だから学校で正俊から煙草の匂いがすることは今まで一度だってなかった。
「正俊、煙草吸ったろ?」
「…?」
「煙草、匂いするけど?」
「…篠田に、貰った」
「は?」
正俊はそれだけ言うと、また生徒会室から出て行った。
「篠田…?」
俺が知る限りじゃ、篠田なんて生徒は一人しかいない。
篠田 馨夜。
今学期から転入して来た銀縁眼鏡のインテリ野郎。
まぁ、顔だけなら好みだ。
口が悪く、顔と性格が一致していないが教会の件から少し興味がある。
そして、自称・元Butterflyの下っ端。
「調べてみる価値はあるな」
俺はパソコンかはら生徒情報を立ち上げ、篠田の情報を探しながら細く笑んだ。
「“篠田馨夜 15歳 1-A
172a `
帰国子女
父 日本人 母 英国人
篠田勇の血縁で帰国と同時に養子縁組に
成績優秀 学年首席”
なんだよ、これ…」
「篠田馨夜くんの個人情報」
ニコリと笑う龍太を睨み付け、俺は再度パソコンを見た。
「なんでこんな情報が少ねぇんだよ」
俺は煙草をくわえ、火をつける。
「知られたくないから……じゃないかな?」
顔を上げると普段とは程遠い、黒翼のリュウの顔をした龍太がいた。
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