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王都学園
混乱
ああ、これは面倒になりそうだ。


――10分前


from 青柳帝
件名 (non title)
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
助けにこい。


―――


「お前に名乗らなくともこの学校の全生徒が生徒会長である俺の名前をしっている。それとお前はもう少しよく考えてから行動しろ。いいな、以上」

「おい!ちょっと待て!お前お前言うな!俺の名前は久香人見だ!ちょっと!無視すんな!」


離れようとする青柳に必死に袖を掴んで離れようとしない久香。



「ひとみん〜かいちょーはほっといて俺とあっちにいこう?」

「「ば会計はほっといて僕らといこう?」」

「久香、俺がいる」



上から会計の児玉、庶務の双子類と礼、書記の丹波だ。
渦中の二人を取り巻いている。
そして周りでギャーギャー喚く一般生徒達。



このままだと少しヤバいな。副風紀委員長の海童も呼んでおくべきだった。


「紅林様、僕童様を呼んできたほうがよいですか?」


傍らに控えていた、俺の親衛隊の隊長、幹が言う。
こいつは本当に頭が切れる。


「ああ、頼む。ありがとうな」


ポンと頭を軽く触ると嬉しそうに駆けていった。



俺はこの騒ぎを沈める為に青柳たちに近づいた。
俺に気づいた一般生徒達が焦って道を開ける。

………まるでモーセだな。



一瞬、青柳と目が合う。


「――お」


「あーっ!もう!カツラが邪魔だ!」


俺が声をかけようとした時に、久香がいきなり叫んだ。

バサリと言う音がしてもさもさ髪の毛が滑り落ちた。
カツラだったのか。どうりで汚らしいわけだ。いっそわざとらしいくらいまでのもさもさっぷりだったしな。

カツラを取った久香は美少年、いや美少女とでも表現できそうだった。


俺がそんな事を考えている間に、周りの生徒達は唖然呆然。あの青柳さえビックリしていた。


「悪いな!えーと…会長!本当の姿でじゃないときちんと名乗ってるって言わないもんな!!」

「………お前、バカなんだな。お前が本当の姿だろうがなかろうが、そもそもお前自体に興味がねぇんだよ。わかったらさっさとのきな」


だが、青柳は我に帰るのもやはり早かった。
それに、青柳らしい回答だ。



青柳の発言にまわりが静まった隙にこの場を治める。


「おい!食堂で騒ぐな。久香、及び騒ぎを起こした生徒会の一同はのちに風紀委員会へ。騒ぎに関係ない生徒は速やかに自分の食事に戻れ…………後は海童、幹、頼んだ」

「ええっ、マジすか!?」

「はい!」



嫌々ながらも混乱する生徒に的確に指示を与えていく海童に、張り切って自らが仕切る親衛隊の隊員を使い海童を手伝う幹。
いい部下を持った。


それに引き換え青柳は大変そうだ。



「ひとみん!かっわいい〜」

「「僕ら三人で三つ子とかどう?」」

「っ……………!」

「剛!可愛いくない!類、礼のが可愛いだろ!」

なんであいつらを役員にしたのか。
家柄も能力もカリスマ性も問題ないがバカすぎるだろう。


「おい!児玉、双子、丹波!てめぇら早く捌けろ!うざってぇなぁ。仕事サボリやがって挙げ句の果てには騒ぎを起こしやがって。ブチ殺すぞ」


額に青筋を浮かべた青柳にすかさず反論しようとした久香が一瞬のうちに誰かに連れ去られる。




「ごっごめんなさい!こいつ、ちょっと脳みそ足らなくてっ!し、しつれいします!!!!」



久香が喚いていたが、だんだんと小さくなっていった。
それを慌てて追いかける役員たち。

後に残ったのは少々距離感がある所にある俺と青柳だ。





「よお、紅林。随分と遅かったなあ」

「騒ぎはきちんと沈めたが。あんな生徒一人くらい生徒会長であるお前がどうにかできないのか?」

「はんっ。よく言うぜ」

「それはそうと、――――だ」

「ちっ。腐れ風紀が」


俺たちが会った時にするお馴染みの憎まれ口の応酬をする。
まあ、挨拶みたいなものだ。
会議中の時のように親しげに話してでもしたら、それこそさっきの比ではないくらいの騒ぎになるだろう。

すれ違い様に青柳にしか聞こえないように言ったのは「今日、夜8時に風紀室」だ。

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あきゅろす。
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