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王都学園
会議
急に臍を曲げた空が光をまき散らしていた。
光ってはゴロゴロとどこかに落ちる。

まるで今の俺の心の中だ。
いけ好かない野郎と二人きりになるいつもの会議だ。




「紅林、顔色が悪いが?いつものスカした面はどーしたんだ?」

「ああ、なんでもない。さっさと終わらそう」

「はいはい。今日は?あー転入生の護衛、警備の件だったな」



なんだかいつもの鋭さがない。
風紀委員長である紅林史斗は一つも校則を破っていない身なりをして、性格なんかは最早武士だ。
染めたことなんかなさそうな黒い短い髪は清潔感が漂う。
いつも厳しい表情がフワッと緩む瞬間は最高にイイと評判らしいが、俺はそんな紅林の顔を見たことがない。見るのはムスッとした顔ばかりだ。



まあ、当然のことだけどな。
生徒会長である俺、青柳帝とは全く正反対だからな。



「久香人見、特別編入生。生徒会役員及び学校内の著名人との異常な接触が多く、各親衛隊の不穏な動き過多の為、護衛並びに学校内の風紀を正すべし………だ」

「あいつら…………最近仕事しねぇと思ったら……何にうつつをぬかしてやがる」

「久香は佐久間や綾瀬も手懐けたらしい」

「!、まじかよ………。あのもさもさした不細工で不潔な野郎のどこがいいのかわかんねえな」

「同感だ」

「珍しく意見が合うな」

「お前ら生徒会はなぜ親衛隊を敬遠するのかわからないな………お前は違うが」

「だよなぁ。あいつらいつも身だしなみ完璧だし中の具合もいつも最高だしな」



俺の親衛隊は俺が直に入隊審査をしてるから当然不細工な奴はいないし、いざこざを防ぐためにセフレ的な扱いでもいいのか言質はとってある。
まあたまに食事くらいはつき合ってやるが。
健気にルールを守って可愛いやつらだ。

同様に風紀の親衛隊はもはや風紀の手下かっつうくらいに統制が取れている。
…………紅林が親衛隊に手を出しているかはわからないが。




「お前と俺の親衛隊でどこまで他が抑えられるか?」

「まー俺のとこだったら双子の所は抑えが効くが、他は無理だな」

「俺の所は佐久間のだったら抑えられる」

「それだったら、まずは役員の馬鹿どもの説得を先にした方が良いかもな」

「………ああ」

「お前、さっきより顔色悪いぞ?熱でもあんのか?」



どうやら紅林の様子がおかしい。
最初にからかった時よりも顔色が悪くなっている。


後は俺に任せて帰れと言おうとした瞬間にかなり明るい光が部屋を照らした。


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あきゅろす。
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