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王都学園

小首を傾げて催促してくるこいつ………風紀委員長親衛隊隊長の幹夏樹だ。

この学園では唯一僕と張り合えるくらい可愛いんじゃないかと思う。


ただ、ちょっとこういうタイプは苦手なんだよね。



「ふん!お前に言われなくても青柳様に誘われたら行くし」


自分の感情を素直に言えない僕は、こいつみたいな素直でイイヤツは正直うらやましい。
今だって、せっかく探しに来てくれたのにこんな言い方しかできない。




「うん!風紀委員長室だって!」

「えっ!ちょっ……」


ニコッととびきりの笑顔で僕の手を掴んでグイグイと引っ張って行く。


背丈も力も同じ位なはずなのにあんまりにも幹が嬉しそうにしてるから何にも言えない。


僕がこいつを苦手な理由はここにもある。目一杯に嬉しさとか伝わって来ちゃって、調子が狂うんだ。





学園一可愛いと言われてる二人が手をつないで歩いている―――そんな状況に周りは色めき立つ。



『おい!幹と椎名だぜ』
『可愛いよな〜舐めてぇ!』
『あれに俺たちと同じものがついてるんだぜ?』
『信じらんねえよな』
『突っ込みて〜』
『顔とかにぶっかけたい』
『ぎゃははは』
『変態じゃ〜ん』




下品なことを言われるのは日常茶飯事だ。
これに反論したり騒ぐと、相手を余計に喜ばせる結果になるからダメだ。

わかってるけど、イライラする。





すると突然手を握る力をギュッと強くされた。



「しーな君、気にしちゃだめだよ?僕が付いてるからねっ!」

「っ、ふん!この僕が気にするわけないでしょっ」

「あはは、そうだね!」


やっぱり素直じゃない僕は嬉しいのに憎まれ口を叩いてしまう。
それなのに幹は僕の手を握る力を弱めたりしなかった。


だから、僕も握り返した。

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あきゅろす。
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