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王都学園
夢か現実か疲れ

「ゆ、夢?」

「じゃあ俺も同じ夢見てるのかよ!?」

「だ、だって!君はアレを!夢以外にどう説明しようというんだい!?」

「早瀬、俺たちは疲れているだけだ。きっとこれは幻だ」

「そ、そうだよね!ま、幻…………帝と紅林委員長がキスしてるのは幻………」

「………………ひとまず生徒会室に行こうぜ」





風紀室の扉をソッと閉め、早足に音を立てずに去った。


「あいつら、バレてねぇとでも思ってんのか?」

「さぁ?まあ、見られてもあいつらなら平気だろう」

「今度からは鍵でもつけとくか……」

「ああ」


青柳と紅林に気づかれてるとも知らずに。












「はぁはぁはぁ」

「ふぅ、ふぅ」


生徒会室までたどり着くまでほぼ最後はダッシュだった。

信じられないことが起こると人間は知らないふり、見なかったことにするって本当なんだって頭の隅で考えて現実逃避し、頭から振り払おうと必死だった。



とりあえずお茶を入れ、一息ついて落ち着くことにする。


「やっぱりアップルティーは落ち着くなぁ〜」

「甘くね?」

「海童はもう少し糖分が必要だよ」

「糖分摂取したら色々頭が働いて疲れるよな」

「…………ちょっと今までの流れを整理しようよ」

「ああ………」



二人して頭を抱えながらポツポツと話だす。

「人見が暴れてってか襲われて器物破損したんだよね」

「その後に風紀の俺が場を収めた」

「私が役員を抑えてる間に海童が人見を安全なところへ」

「で、俺とお前でここで書類作成、ついでに仕事を片付けた」

「その報告で風紀室に………」

「いつもの会議だとおもって、仲が悪い二人に巻き込まれないように最初にちょっぴり覗いたら………」

「……………」

「……………」

「………やっぱり現実?」

「………それしか説明がつかなくね!?」



沈黙。
と、そこにガヤガヤと五月蝿い集団が。

これ以上俺たちの仕事を増やされては堪らないと生徒会室の鍵を閉める。


外で騒ぐお馬鹿たち。剛と類と礼に人見、静かだけど英に人見の親友らしい平凡君の6人だろう。





「俺より早瀬のが大変だよな」

「そうかな………はぁ、」

「生徒会副会長だし、他の役員は役立たずだし、会長は会長で忙しいからな」

「そんなこと言ったら海童だって大変じゃない?風紀副委員長だし、なんだかんだで仕事多いし」


二人で今後のことを色々話ながら仕事をテキパキと片していく。

帝と紅林委員長は仲最悪だから生徒会と風紀は仲悪いと思われてるけど実際、私と海童は仲はいい方だ。
お互い副役職で、色々気が合う。






仕事に没頭しているうちにさっきの帝と紅林委員長のことをすっかり忘れてしまった私たちは、今までやった分の仕事の報告に風紀室へ。




「早瀬、なんか……俺たちさっきもここを通った気がするんだけど」

「そうだっけ……?」



首を傾げながらもひたすら風紀室を目指す。
生徒会室とは両極端にあるため、結構な距離がある。












「喧嘩してるとこ入ったら面倒だからちょっと様子見てから入らない?」

「賛成」


海童がドアに手をかける。


カチャカチャ


「鍵かかってるみたいだ」

「いないのかな?」

「そんなわけなくね?」


中にいるかどうかの確認にノックをしようとした瞬間に聞こえる声。



『……フミ…ちょ………ダメだ……んっ』

『…ミカド………少しだけ……いいだろう?…』


な、なんだ?
いったい、どうなってるんだ??


「はっ早瀬、なんか俺たちさっきもここで………」


焦った海童の声。重なる風紀室の声。


『……ッア……そこ………フミぃ…』

『まだまだ……イケる……ろ?』



さっき?
さっき………………



「うわぁぁぁああああ」

思い出した!


「ちょ!早瀬!声がでけぇよっ」



じゃあ、じゃあ、中で、中で何が??
しかも!しかも!
帝が、帝が下!?
ど、どうしよう??







「タクトぉ!ドアの外でギャアギャアうるせえんだよ!ノックしてさっさと入りやがれ」

「うっわぁ………帝、服、着てる……」

「あ?服着てて当たり前だろ?」

「えぇ!?」


眉をひそめて俺をみる帝。


「俺、てっきり会長と史斗さんがナニしてんのかと……」


はっきり言ってしまう海童。

キョトンとする帝と紅林委員長。



「「あははははは」」


次には二人笑い出した。


「さっき見てたもんなぁ、お前ら」

「また来るとは思わなかった」


さっき覗いてたの気づかれてたんだ!?


「ちなみにナニなんかしてねぇぞ、海童」

「へ」

「紅林にマッサージしてもらってただけだ」


そ、そんなベタな………!



「でっでも!帝と紅林委員長仲めっちゃ悪かったじゃん!」

「俺らも色々あるんだ」

「とりあえず、早瀬に海童、お前らこのことは黙っておけよ」





紅林委員長の命令とあらば聞くしかない。












「なんか、疲れがどっと来た気がする…」

「ああ」




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