SS 炭酸の抜けたサイダー 「アンタいったい俺をなんだと思ってんだよ…」 「なんていって欲しいの?」 「別に……ただ、さぁ………はぁ、」 「ふふ」 あいつはいつもの薄気味悪い笑み(周りからしたら天使の笑み)で俺に近づく。 足音がしないのが余計に気持ち悪い。 スッと俺を後ろから抱きしめる。 そんな華奢な体のどこにそんな力があるのか―――まあ、俺はコイツのカラダが物凄く引き締まっているのを知っているが。着痩せというやつだ。 「苦しい」 「心が?」 「バカ言うな。絞めすぎ」 「そんなことないよ。キミが悪いんだよ?早く素直になりなよ」 話が噛み合っているようでない。 素直?素直って何に? なんてとぼけるのも最近は苦い。 白い蛇のように俺に巻きつく長い腕。次第に妖しく動きだす。 「っん」 「カラダは素直なのに。ツンデレさんだよね、まったく」 「は、バカ言うな、し……ふ、」 「『バカ言うな』って二回目だよ。キミのカラダって肌がスベスベで気持ちいいよね。滑らかで美味しいし。舌触りがたまんない」 熱は上がるばかりだ。柔くてもどかしい愛撫に俺のカラダは甘く悲鳴をあげ、そうそうに降参してしまいそうだ。 抵抗しても無駄なのはこの際無視。もしもこの抵抗さえしなくなったら………なんていうのは考えたくない。 「キミのカラダのことはキミよりも知ってるよ。ねぇ、キミは知らないでしょう?キミは内股を攻められるのが大好きだって」 「ん、なんだよ、それっ……あ、あ、」 「つまり、キミの弱いところだよ」 抑えることができない浅ましい吐息をはきながら思い立つ。 だから気がつくといつも内股に大量のキスマーク。自分のカラダなのに見る度にゾッとする。 カラダの熱が最高潮に達した時に、スッと離れるアイツ。 勿論、確信犯だ。 俺がこの熱を持て余し、最後にアイツにすがるしかないことを知っている、犯行。 こうして俺は陥落するのだ。 「堕ちた?」 「今回は、だ」 「素直じゃないキミも大好きだよ」 ヤンデレ細身美形×性格男前平凡 [*前へ][次へ#] [戻る] |