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焦れっと一年間
4月春爛漫
ヤバい。ヤバい。ヤバい。
もう一度言うがヤバい。


先生よ…………なんで俺が休みの日に限って席替え?

窓際後ろから二番目という素敵な席だ。
が、なんで後ろの席に三島?


女子よ……………キラキラした目で見るなら席変わってくれないかい?



三島海斗。真っ赤な髪の毛に三白眼。オマケに高校一年にして180センチを越す長身。
極めつけは目つきの悪ささえ霞む見目の麗しさ。
精巧に作られたマネキンより完璧な人間だ。



そして、怖い怖い不良様だ。


新しく高校生になって早いことに一週間がたった日だった。











「あははははは」

「笑うなぼけぇ!席かわれやぁ!!!!!」

「やだよ。俺も三島怖ぇもん。ズル休みなんかすっからバチがあたったんだよ、笠木は!」

「なあ、松野。女子は席変わってくれないかな?」

「無理じゃね?だって席替えの日にあんまり女子が五月蝿いから、三島がキレたから」

「がくぶるがくぶる」

「口でいうなし」



今はお昼で、中学からいつも連んでる松野と弁当を食べているところだ。

俺は、大好きなウインナーを最後に口に放り込むとため息をついた。



「はぁ…………」

「具合でも悪ぃの?」

「へ?」


振り向くと、三島がいた。
友だちがいのないビビり松野はさっさと逃げてしまった。


「あっ、みっ三島に笠木、またな〜」


あとで覚えとけよな、馬鹿松野。


「具合は悪くないよ。昨日のはただのズル休みだし」

「ズル休み?」

「そぅ。ズル休み。あんまり学校がダルいからサボった」



なんだ、普通に話せるじゃん。見た目とかオーラあるしちょっぴりまだ怖いけど、一年間を共にするクラスメートだしな。


「へぇ〜。笠木って案外話しやすいんだな」

「それはこっちのセリフだし。たった今、俺は怖い三島の前の席になって絶望に陥っていたところだったぜ」

「ふはっ」


あ、笑った。
綺麗に笑う男だ。
周りで恐々みてた女子の目線釘付けじゃん。


「俺、怖い?」

「うん。だって超怖い噂とかばっかりだし」

「どんな?」

「ヤクザ一家を一人で全滅させたとか」

「ほぅ」

「目があって気に食わないと半殺しにするとか」

「どんな狂人だよ!」

「怖いのは見た目だけか」

「ま、半分は本当だけどな……………ってにげんなよ!」

ガシッと音が聞こえるくらいに強く俺の腕を掴む三島。やっぱり怖ぇえ!
でも顔が必死かも。


「三島って怖いけど綺麗な顔してるよな」

「あー……………よく言われる」

「イケメンムカつくよな」

「ははっ!笠木は普通だよな」

「うっせぇ」

「あ、席替えの日に女子にキレたのってどうしたの?」

「なんか休んだ笠木の席と変わりたい女が騒いで五月蝿いからちょっぴり脅しただけだ」

「ちょっぴり?」

「目の前の笠木の机蹴り飛ばした。気づいてないのか?壊れたから笠木の机新しいのだぜ」


衝撃の新事実キタ。
だから今日はいつもわらわらといた女子が三島の周りにいないのか。


「くっ、笠木って面白いな。俺、明日もちゃんとくるからサボらず笠木もこいよ」


ポンッと俺の頭を軽く触って三島はいなくなった。

仲良くなった……………のか?
なんだか明日が楽しみになった。



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