Cycle
美味しいプレゼント【1】
『誕生日に欲しいものがある』
そう、泰人兄ちゃんと凌兄ちゃんに言われた。
今日は泰人兄ちゃんと凌兄ちゃんの誕生日だ。毎年、俺と蛍でいろいろ考えて祝ってるんだけど、今年は兄ちゃんたち直々に希望があるらしかった。
俺らとしても希望があるならできる限り叶えてあげたい。やっぱり……………大好きなお兄さんだし。
でも、なんか……嫌な予感しかしないんだよね。
だっていつも通りホールケーキ2つと長めの赤とピンクのリボンだけ用意しといてって言われたんだけど……………。
絶対おかしい。
リボンはきっと俺たちに使う気だ。意図はおぼろげにわかるとして、一体何をする気だろうか。
蛍には『覚悟しとこうな』って言ってあるけど、蛍はぜんぜんわからない風だったもんな。
警戒心が薄くて、俺たち兄貴を信頼しきってるとこなんて本当に可愛いんだけど……………時々心配になる。
「さぁ、とりあえず佐乃ちんと蛍ちゃんはまずお風呂に入ってきてね」
「なんでぇ?」
「なんでも〜」
不思議に思いながらも俺と蛍は風呂に入った。
今日は兄ちゃんたちの誕生日なんだし、言うことは素直に聞いておくほうがいい。
(いつも聞いてるけどね)
「出たよ〜泰兄ちゃん」
お風呂で蛍とじゃれついてて、すっかり警戒心なんて忘れてきた俺たち。
兄ちゃんたちにはうまそうな子羊にしか見えないだろう。
「じゃ、佐乃ちんはここ」
「蛍はここだ」
それぞれ兄ちゃんの足の間に座らされていつも通りに頭を拭かれる俺たち。
つい、気持ちよくて兄ちゃんに身を任せる。
うっとりしてたら首のあたりに違和感を感じる。
「「何?これ???」」
ついハモった俺と蛍。
俺の首にはピンクのリボン、蛍には赤いリボンが綺麗に結ばれていた。
「チビども自身が俺たちへのプレゼントだ」
「今日は全部貰うね」
凌兄ちゃんが言い終わらないうちに俺たちは姫抱きにされて運ばれた。
「ちょっどこいくの!?」
「寝室?」
「僕たちの?」
「いや、俺たちの」
焦る俺に状況が把握出来てない蛍に嬉しそうな兄ちゃんたち。
トサっと優しくベットにおろされる。
目を白黒させる俺と蛍。
「「いただきます」」
いただきます?
と頭に?を浮かべる間もなく唇を奪われた。
反射で必死に凌兄ちゃんの舌に自分も絡ませてしまう。
「む、ふぅ……んんんっ」
何度も何度も啄まれ、体も火照るし力は抜けてく一方だし、なによりも…………鼻から抜ける自分の声に羞恥心が。
「ぁあ!まったかいがあったなあ〜美味しすぎる佐乃っ!!!」
「ぁ、ああ……はぁ、ふ、ん」
俺はこんなにいっぱいいっぱいなのに、凌兄ちゃんはよくしゃべる……………なんてキスを受けながらボーっとしてくる。
そして、隣から聞こえる声にハッと戻る。
「ひゃ、んん…………ふ、ぁんっ、やす、にいたん………やぁ、ん、」
「あー早く突っ込みたい。可愛いすぎるぜ蛍!」
もうグズグズになっている蛍にさらにグズグズにしようと蛍の唇を啄む泰兄ちゃん。
「…………ふ、ふぅ、ほ、ほたるぅ…」
いまだにキスを受けながらも、なんだか蛍を助けてあげたくて、必死に蛍に手を伸ばす。
「あ、ふぅ、んんっ、さのぉ!」
蛍も俺に必死に手を伸ばしてくれる。
もう少しでお互いに触れそうになったところで、信じられないほどの何か衝撃が体を突き抜けた。
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