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Cycle
伝説はこうつくられる
俺たちの中学は最近ある兄弟の話題で埋め尽くされている。


…………そう、高城兄弟だ。


俺のクラスメートの高城佐乃とその弟、高城蛍には超美形な兄貴が二人いる。
その兄貴たちは俺たちの通う中学校のすぐ隣にある高校に通っている。


そしてめちゃくちゃブラコンで高城は………くそっみんな高城でわかりづらい!
う゛ん!
ええと、美形兄貴二人は毎日毎日たかじょ…佐乃と弟をチャリの後ろに載せて学校まで送ってるんだ。


前に疑問に思って佐乃に聞いてみたら…………

『兄ちゃ……兄貴たちが“心配だから”って毎日チャリに乗せるんだ…………てか、チャリに乗るのにも俺が蛍を載せれば済むのにね………』

と明後日の方向を見つめながら教えてくれた。





あの美形兄貴二人は男でも思わずドキッとさせてしまう程の美貌の持ち主だ。

高城泰人は漆黒の髪にノンフレームのメガネにクールな佇まい。時たまフッと笑う仕草にやられてしまう、とクラスの女子が言っていた。

高城凌は金髪のウルフにワイルドな雰囲気。チャラ男系なのに、逆にその気安さに定評があるらしい。




それに対して弟の高城佐乃はどこにでもいるような平凡な顔立ちに、弟思いな優しい性格をしているとはいえ普通の中学生だ。強いて言えば色白で少し体が華奢だ。

その弟の高城蛍は一人だけ他三人と違ってフワフワの猫っ毛で、末っ子感がプンプンするような感じだ。ただ、佐乃が大好きなのが見てとれる。実際、あんな懐っこい弟がいたら可愛いかもしれない。





ああ、噂をすれば高城兄弟のお出ましだ。
校門に殺到する女子の群れ、時々………男子。


恥ずかしそうに顔を俯かせる高城佐乃と弟。
それを見て何故かもだえてる様子の高城凌。いつもと変わらずクールな高城泰人。

兄貴二人は弟二人の頭を撫でくりまわすと満足そうに高校の方へと向かった。
途端に高城佐乃と高城蛍に群がる女子、時々男子の群れ。
必死に走る高城兄弟。



いっくら高城佐乃や弟が自分たちのせいで囲まれたり巻き込まれたりするからって普通あそこまで送るものなのか?
兄弟ってそんな仲良くするもんなのか?
俺も弟がいるけど、まあ、一般家庭くらいは仲良い程度だと思う。
確かに高城佐乃や高城蛍が弟だったら可愛いかもしれない。
しかし、あの満足そうな顔……………なんか引っかかるよな。



高城佐乃は兄弟の話をするときはいつも嬉しそうだ。確かにあんな兄弟がいたら自慢だろう。だが、あんな過保護にされてウザくないのだろうか。






「ぜーぜー、はぁ、はぁ………ふぅー。みんな、おはよ」


「今日も大変だったなー」
「てか兄ちゃん本当に美形だよな!」
「佐乃くんおはよう!」

「佐乃くん今日は泰人さんの後ろだったね!珍しい!」
「本当にいーなー!!!あたしも凌さんの腰に腕回したい!」




いつものように挨拶する高城に、いつものように(いつも同じような)質問攻めするクラスメートたち。



「おつかれ、おはよ」

「おはよう元木」

「あー、お前って普通に見えるけど、やっぱりちょっと可愛いかもな。高城が弟だったら俺も過保護になりそう」


席が前後ろな俺に最後に挨拶する高城。
必死に走ったのか、色白の頬にうっすらと朱がさしていた。
平凡顔なのに、男なのに、ましてやあの兄貴たちならまだしも、そんな佐乃にちょっとドキッとしてしまった。


「なんだよそれ〜元木ってば!」

「悪い悪い。からかってみただけ」

「ったく!…………………………………………………………からかわれるのは兄ちゃんたちでもう十分だよ」



最後のつぶやきは聞かなかったことにしてやろう。
日に日に妙な色気を纏ってくる同性のクラスメートに意識させられるのなんてごめんだった。











あー、いい匂いまでしやがる。
俺は変な考えを払拭させようと頭を振った。

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あきゅろす。
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