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Cycle
高城家四兄弟
「蛍、泰兄ちゃんと凌兄ちゃん起こしてきて!」

「ふぁ〜い」


俺は高城佐乃。中学二年生で高城家三男。俺らの父さんと母さんは海外に出張中で、我が家の大黒柱は長男の泰人兄ちゃんだ。


泰兄ちゃんは高校二年生で、父さん譲りのサラサラの黒髪にノンフレームのメガネが似合ってて爽やかでかっこいいんだ!


「佐乃ちーん。今日も可愛い〜」

「ちょっ凌兄ちゃんやめてってば!」


………と、今後ろから俺に抱きついてきたのが次男の凌兄ちゃん。

凌兄ちゃんは高校一年生で、金色に染めたウルフヘアがワイルドでかっこいいんだけど…………俺と蛍にはなんというか……デレデレ?なんだ……。


「さぁちゃーん!泰にぃちゃんが離してくれないーッッ!」

「わかったー!今いくー」


たぶん泰兄ちゃんが寝ぼけて蛍を布団に引き込んだんだ。


弟の蛍は中学一年生。茶髪のフワフワした癖っ毛が可愛いんだ!兄弟の中で唯一母さん似の猫っ毛なんだ。
ちょっとアホで我が家のボケ担当だ。俺とはよく双子みたいって言われるくらい仲がいいんだ!



「おーい!泰人兄ちゃん起きろよッ!蛍も困ってるだろ!もうーって、うわぁ!」

泰人兄ちゃんの体を揺すっていた手を取られあっという間に引き込まれてしまった。

左腕に蛍、右腕に俺を抱き込んで御満悦な泰人兄ちゃん。普段学校ではクールって呼ばれてるらしいけど………………これはクールなの?

二人で拘束から逃れようともがくけど全くかなわない。
寝てるのになんでだろうか?ましてや俺たち二人がかりなのに。




「佐乃ちーん?蛍ちゃーん?泰ー?」

なかなかリビングに降りてこない俺達を不思議に思ったのか凌兄ちゃんが様子を見にきた。


「えっ何やってんの?」

「「泰兄ちゃんにつかまった」」

「おい!泰!お前いつまで寝ぼけてんの!佐乃ちんと蛍ちゃん二人を抱き枕にするなんてうらやましい……じゃなくて二人とも困ってるでしょ」


凌兄ちゃん、心の声が聞こえた気がするよ。

何を言っても起きない泰人兄ちゃんに焦れた凌兄ちゃんが泰人兄ちゃんの体を思いっきり揺さぶる。
おかげで抱き込まれている俺達も揺さぶられる。


「ちょ、凌兄ちゃん!」

「ええい!泰人、このまま起きないと今夜は二人とも俺のベッドだから」


凌兄ちゃんがそう言った途端に泰兄ちゃんがガバリと起き上がる。

「………それは、無理だ」



他の家じゃどうか知らないけど、小さい頃から両親が滅多に家にいない我が家では、俺達が小さかった時、寂しくないようにとかわりばんこに兄弟二人づつとかで寝てたんだ。

大きくなった今、別に寂しいとかは流石にないけど、兄ちゃんたちが弟離れしてないせいかまだ一緒に寝たりしてる。

最近は高校生組と中学生組ってことで泰人兄ちゃんは凌兄ちゃんと、俺は蛍と寝てるんだけど、兄ちゃんたち曰わく「弟が足りない」ってなると兄ちゃんたちと俺達で寝たりするんだ。




「飯は?」

「俺っちがもう作っといた。佐乃ちんと蛍ちゃんは支度しておいで」

「「はーい」」

「待て、チビども」

泰人兄ちゃんの声に止まる俺達。


「お前ら、朝の挨拶は?」

「あー、忘れてた」

凌兄ちゃんが頭をボリボリ掻いて、まだベッドから体を起こした状態の泰兄ちゃんに覆い被さってキスをする。しかも、大人がするような。


「………んっ」

色っぽい声を出して唇を話す凌兄ちゃん。
思わず赤面する俺達。毎日見てるけど全く馴れない。

次に俺が、最後に蛍が泰兄ちゃんにキスをする。

「あー起ちそう」

泰兄ちゃんは一言爆弾発言をして部屋を出ていった。



「佐乃ちん、蛍ちゃん、俺っちにもちゅーは?」

キラキラした笑みで俺達をみる凌兄ちゃん。
近くにいた蛍が先に「ちゅ」っとして、そのまま俺にもして「お先に〜」っと部屋を出て行った。

俺もしなくちゃと凌兄ちゃんを振り返ってみると…………いい笑顔?としか表現できないような顔をした凌兄ちゃんが。


「さあ、佐乃ちんカモン!」

両手を広げて俺を待っていた。
そんな凌兄ちゃんにおずおずと近づく俺。
兄ちゃんの胸のあたりに手を置いて自分を支えながら唇を近づけた。


「……!んっ、ふ、んぁッ」

いつものフレンチキスで終わるはずだったのに、兄ちゃんの舌、が俺の口内を動き回る。

「っや、しの、にぃ……ぁ、」

やめてって言いたいのに言葉にならない。
激しく暴れ回っていた兄ちゃんの舌は、俺が立てなくなってから離れた。

息も絶え絶えな俺とは裏腹に兄ちゃんは嬉しそうな顔をしていた。

「そろそろ佐乃にもこーいうキスしてもらいたいなぁ〜」

「はぁ、はぁ、ふ、むり」

「本当に佐乃ちんはかわいいなあ〜」



「うちはミイラ取りがミイラになるな」

気がついたらすっかり支度を済ませた泰兄ちゃんがいた。
恥ずかしさでジタバタする俺をなんなく抑えた凌兄ちゃん。


「よくやったな凌。佐乃、」

「へ?」

「明日っからそうやって俺にもしろよ」












俺は抵抗をやめた。


「兄ちゃんたちまだ〜?学校おくれちゃうよ〜!!!」


蛍の叫びがこだました。

そんな、俺達兄弟の日常です。

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あきゅろす。
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