飼い犬になります
11
俺が色さんの犬になったことを総長に報告する。
引きつった顔をして総長の腕の中にいる旬介。
「佐久間お前、ちゃんと飼うのか?」
「うん。ちゃんと飼うよぉ?あとで首輪も買うしぃ〜躾は完璧だからねぇ〜」
「わかった。チームの奴らに言う」
総長は軽々と旬介を抱っこし(片腕で抱き上げる子供だっこだ)、幹部室をでる。
続いて俺も色さんに姫抱っこされたまま部屋を後にした。
湧き上がるどよめき。
その多くは驚きの声だ。
それもそうだ。
チームの下っ端で、とりわけ綺麗でも可愛くもなくて、喧嘩も激弱ないわばチームのマスコットのような俺がいきなり色さんの恋人だなんて。
「おいっ、バカ犬っ!どういうことだ!?」
コソッと旬介が俺に耳打ちしてきた。
どうもこうもないよなぁ………。成り行き?
「気づいたらこうなった、かな?」
「意味わかんねぇ!」
頭を抱える旬介。
「っどした!?にゃんにゃん?」
「っいえ!なっなんでもないんです」
旬介が頭を抱えた瞬間にすっ飛んできた総長。無表情で心配そうな顔はしてないが焦る旬介。
あっという間に幹部室にまたこもってしまった。
「にゃんにゃん連れてかれちゃったね」
後ろからガバッと色さんが抱きしめてきた。
今日はよく抱きしめられるな。
少し、慣れた、かもしれない。
「連れてかれちゃいましたね」
ちょっぴり寄りかかって甘えてみたり。
やっぱりフワリと良い匂いがする。
「甘えてんのぉ?かわいーわんわん」
クラクラするけどなんか、癖になる………。
最初から色さんのことは大好きだった。憧れでいつも傍にいたいくらい。
さっきは色さんのこと恋愛感情はないと思った。
でも、俺は出会った時から色さんの虜だったんだ。
「色さん」
「なぁにぃ?」
「大好きです」
こうして俺は、色さんの『犬』になった。
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