飼い猫になりました
5
学校の帰り道、いきなり沢山の不良に囲まれたと思って焦って逃げようとしたうちにあれやこれやと拉致られ。
たまり場に連れていかれて。
涎を垂らした、ああ、そういえば涎垂らしてた総長、須藤一颯の前に立たされ。
マジマジと全身を舐めるように観察され。
いきなり膝の上に乗せられ。
さっきまでの流れだ。
意味が分からない。
「須藤一颯、チーム“風”の総長だ。虎谷旬介、俺の猫になれ」
「は、ちょ、い「あ?」」
「あの、む「ん?」」
猫?猫って何?
俺今、『俺と付き合え』的なこと言われると思ってた。
まあ、どっちにしろ嫌だけど。
顔の表情を変えずに俺の返事を遮るの止めて欲しい。
「にゃんにゃん、ヤるか、無理やりヤるか」
ヤる!?
え、どっちの?
つかどっちにしろ選択肢に『ヤる』しかない………!
「あのね〜須藤が『俺の女になれ。返事はイエスしか認めないぞっ。断ったりしたら、無理矢理ここで犯すぞお〜』だって!いやん!だ、い、た、ん!」
ニコニコ顔な副総長。
無表情な総長、須藤一颯。
「……な、なんで俺、ですか?」
「一目惚れした」
「……い、いつ?」
「昨日」
「……昨日…」
「にゃんにゃんがにゃんにゃんとにゃんにゃんしてた」
いっぱい喋ったと思ったらにゃんにゃんしか言ってねぇ…!!
てか、昨日?昨日、昨日…………
確かに帰り道に公園で猫を拾ったけど。
「…あ、そうなんですか」
「返事。ヤるか、無理やりヤるか」
くう!逃げ道を自分で塞いだ感が!
そして選択肢は変わらずかよ!
こうなったら!
平凡野郎の底力を見せてやる!
「や、やらないで、猫は駄目ですか?」
底力を見せてやると思ったけど、実際はおずおずと進言した。
「…………わかった。にゃんにゃんがヤりたくなるように躾する」
こうなったら腹を括るしかない。
俺が、カラダを許さなきゃいいだけだ。
『躾』とか怖いこと聞こえたけど俺は知らない。
「それ、じゃあ、猫になります」
途端に場が湧いた。
所々から
「総長!よかったですね!」
「総長!猫の言うことをなんか聞かずにヤッちまってもいいんスよ!」
「総長!思いが報われましたね!」
「総長!我慢はいけませんよ!」
みたいな感じの声が聞こえる。
物騒すぎる。味方はいないみたいだ…………。
こうして俺は、須藤一颯の『猫』になった。
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