飼い猫になりました 1 これはどういう状況なのだろうか。 この辺一帯を絞めているという不良グループの総長様が、俺を膝の上に乗せ、さらに服の中に手を忍ばせているという不可解な状況、だ。 「あ、の」 「……………」 もぞもぞと止まらない手に戸惑いを隠しきれなくて、思い切って声をかけるも怖くて返事をもらえるまでに至らない。 マズいとわかっているのにチキンな俺はされるがままだ。 プチプチとワイシャツのボタンが外されていく。 学ランはとっくに開けっぴろげにされているけど。 どうしようどうしよう! 頭が追いつかないよ! うなじに生暖かいものが這っている。 …………まさかな。 状況打破のために、使えない頭を使えないなりに回転させる。 「ひぁあ!」 ビクゥと体が跳ねた。 タダでさえも視線が集まってるのに、俺の情けない声で更に視線が集中する。 そう、ここは総長様のグループのたまり場だ。 当然グループの人がわんさかいる。 「にゃんにゃん気持ちいいの〜?須藤〜にゃんにゃんもっとだってぇ〜」 フラリと目の前に来た、副総長が意味不明なことを満面の笑みで言っていなくなった。顔はかっこいいのに頭弱いよ! だいたい『にゃんにゃん』はない。俺は虎谷旬介だ。猫じゃなくて虎なのに。……………って問題はここじゃない。 ものすごい熱っぽい視線を感じて、視線の主を恐る恐る見上げた。 [次へ#] [戻る] |