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飼い猫になりました


居心地がよいこじんまりとしたマンションの一室が一颯様の家だ。
ご両親は長期出張で海外らしい。本当は高級マンションに一颯様を置いときたかったけれど、学校から近いこっちを一颯様が選んだそうだ。



「にゃんにゃん、飯」

「はい!」


ローテーブルに用意された夜ご飯。
一颯様の作るご飯はとても美味い。
かっこよくて料理もできるなんて狡いとさえ思う。


俺は胃袋をしっかり掴まれてしまった。
一颯様の家に泊まると大概次の日は足腰が立たないが、毎回毎回、美味しい夕飯を作ってくれるので、ついついホイホイと泊まりに来てしまう。





「か、カレーだ!!」

「にゃんにゃんカレー好きだろ?」

「え?でもこんなに早くカレーってできますっけ?」

「今日は最初から連れて帰るつもりだったからな」

「ぅう…………お?、あっ!!!!お魚のカレーだっ!!」



ただでさえ大好きなカレーなのに、さらにまたまた大好きな魚が入ってるなんて!!!


――俺も一颯様に馴れたけど、一颯様の方も俺の飼い方が巧くなったんだなって思う。


ふと、視線を感じて顔を上げると、一颯様が俺をみて微笑んでいた。
愛しくてたまらないという優しすぎる目線にたまらず頬が熱をもってしまう。

一颯様は無表情が常だけど、二人きりの時は少し表情が豊かになる。
俺はもう無表情の中の感情もわかるけど、やっぱり表に出されると破壊力が違う。
こんなイケメンにこんな顔をされたら誰だって赤くなるだろって思う。





「あのっ!食べましょう?あんまり美味しそうなんで俺っ!お腹ペコペコです」


赤くなった顔を誤魔化すために一気にまくしたてた。


「そうだな。ホラ、こっちこい」

「し、失礼します」

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