飼い猫になりました
4
ポカーンとする俺。
むくれる仁科君(むくれた顔も可愛い)。
ウンザリしている一颯様(こんなに表情が変わるのは珍しい)。
「いいから、もう帰れ。うざってえ。にゃんにゃんとこれからにゃんにゃんするからお前邪魔。さっき散々構ってやったろ?」
「ばーか!ばーか!一颯のばーか!またくるからね!フンッ!!ちょっと猫谷君!一颯はぼくのもんなんだからっ!べーっだ!」
ものすごい勢いでまくし立て、アッカンベーをキメると去っていってしまった。
下っ端の人が言ってたけど、昔からの友人なんだろうか。
あんな不機嫌な一颯様にあんな風にまくし立てるなんて正気の沙汰じゃないよ。
それに一颯様がこんなに早口で、こんなに単語を人に話すのを佐久間さん以外で初めてみた。
しかも「エッチする」って言ってた。
ど、どういうことなんだろうか…………?
あと、今更ながら俺は猫谷じゃない。虎谷だ。
「あ゛あ゛ーッ!!疲れた」
いきなり大声を上げた一颯様にビビる俺、大声を上げた本人に抱きついてしまう。
もともと抱き上げられたままだったからしがみつくようだ。
「にゃんにゃん、今日は俺ん家泊まれ」
「ぅ、」
「泊まるよな?」
「……えと」
「にゃんにゃん」
「猫が……」
「お母さんがいるだろ」
「う゛っ」
「今日は頑張ってもらうからな」
「……はい」
俺は今日は寝れない上に明日は動けないかもしれない。
学校は休まないとなぁ………。
あと、缶詰めどうしよう。帰ったらアイツ、機嫌悪そうだ。
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