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「きい髪短いのも似合ってるね」
「ちゃんと男子に見える?」
玉ねぎを炒めながら答える。
「俺、きいの長くてツヤツヤした髪好きだったのに勿体無いなって思ったけど、可愛いよ」
「また可愛いって言ったなこのやろう!嫌みか美形!」
「紀一は普通顔だけど、俺からしたら可愛いの」
「はいはい、あんたもかっこいいよ」
「うわー褒めてんのにいー」
だらだらと久しぶりの会話を楽しみながら私はハンバーグを作った。
「おまたせ」
「超久しぶり、超うまそう!」
陽は私の作ったハンバーグが一番好きらしく、本当に嬉しそうにしていた。
そして、料理している時のようにまたダラダラと会話した。
「きいさ、入試本気でやったでしょ」
「当たり前じゃん。タダ入学かけてるんだから」
「そんなにしなくてもタダにするのに」
「バカいえ!そんな迷惑かけられないよ」
「え〜、紀一に迷惑かけられたことないよ俺ん家」
「そう?護身術教えてもらったし、なんだかんだいってもこの学校薦めてくれたし…」
「紀一」
「何?改まって」
「入学式の新入生代表挨拶、紀一だから」
「はっ?」
「紀一が本気でやったから、俺中学から主席だったのに次席になったんだ」
「マジで?」
「紀一のおかげで俺は黄色いつーか黄土色の声の中挨拶しなくて良くなったの。ありがとう紀一。どんまい紀一」
陽は花も恥じらうくらいの笑みを私にむけた。
それも私のハンバーグを食べるときと同じくらい嬉しそうに。
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