日曜日
「最近お前変じゃね?」
何か隠してんだろ、と唐突に言われたのは、日曜の昼下がりのことだった。
その日は朝から洗濯物を干して、部屋の掃除機をかけながら、『クソだりぃ』と放つ哉也にわざと掃除機の先を当てて、着ているスウェットの裾を吸いながら戯れ合っていた。
ちょうどその時だったのだ。その言葉を言われたのは。
「、え?」
一瞬、間が遅れた。
やってしまった。
「オイ」
顔に出ていたのだろう、僕の表情から何かを察した哉也は突然ヒトが変わった。
「服脱げ」
僕は言われるがまま、掃除機を床に置いて、着ていた服を全部脱いだ。
掃除機のスイッチを切り忘れた状態だったので、ガーッ、ガーッと部屋に五月蝿い音だけが響き渡る。
「四つん這いになれ」
素っ裸でそのまま床に両手両足をついて、僕は犬のような格好をした。
言いようのない不安が過る。
「声出すなよ。オマエの声、ウゼーから」
言ったが早いか、彼の指が僕の尻穴のナカに挿さる。
「……ッ!!!」
「ケツ、緩くなってんな」
最近シてねーのにオカシイよなァ?
彼の声が耳元で木霊する。
僕は必死で彼の指がアナル内を犯しているその痛みに堪えた。
「こっち向け」
四つん這いのまま、恐る恐る顔だけ彼の方に向けた。
――――ガンッ!!!
「っ、」
殴られた。
そのまま雪崩れ込む様に床に倒れ落ちる。
「バイブ、どこにあったっけ」
そう言いながら、彼は寝室の奥にあるクローゼットの中を探り始めた。
「あった、あった」
「ッひぁ!!」
殴られて倒れた状態のままでいたので、急に感じたお尻の異物感に、僕はチカチカと眩暈がした。
「そんだけユルまってンなら、もっとユルユルになっとけば?」
ハハハ、と乾いた笑みを浮かべながら彼は、僕のナカに挿したバイブを抜き差しし始めた。
「いや、あっ、痛い、痛いよ」
ゼリーも何も無い状態で突然に挿れられたのだ。痛くないはずがない。
「黙れっつってンだろ!!!」
ゴン、今度は挿さったバイブごと、足で蹴られた。
物が更に奥へと挿入る。
「あぁぁああ」
しかもタイミングが悪いことに、そのバイブの先は僕のちょうど気持ちの良い点を突いてしまい、その反動で僕はあっけなくイってしまった。
「最悪だな」
彼はもう興味が無い様に寝室から去って行ってしまった。
慌てた僕は痛む身体を無理矢理起こし、彼の後を追った。
「カナちゃんっ!!!」
はっとしたような哉也の顔と目が合った。
「……類斗」
「カナちゃん」
「……なんで素っ裸なの? お前」
いつもの哉也に戻ったことを確認した僕は、安心して微笑む。
「暑かったから」
あっそ、と苦笑しながらリビングへ行こうとする哉也の手を握った。
「何?」
「大好きだよ」
愛してる、と言いたかったけどなんだか嘘臭く聞こえてしまいそうで、僕はこう言った。
「ありがとう」
滅多に見れない哉也の満面の笑みが見れただけでも、僕は今日一日生きていてよかったと思った。
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