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「いいな? 絶対に来るなよ?」
 そう言って海軍の服を身にまとい、いなくなってしまったエース。気絶させられている男を見つめ、ため息を吐き、にやりと笑う。
「俺がエースの言うことを聞くほど良いやつだと思ったら大間違いだ!」
 腰に手を当て、ふははははと仰け反るように大笑いする。その声に男がふと、目を開けそうになる。それに気付き、しゃがみこみていやあと首を狙ってチョップを決めればまた気絶した。
 さて、と立ち上がり海軍の基地を見る。
「これで行かなきゃ男が廃る」
 お前女だろという突っ込みは忘れてやって欲しい。



「しっかし、広いなあ……」
 上手くエースのように海兵の服を盗み、潜入に成功したネオは、ふらふらと道に迷いながら歩いていた。そこに良い匂いが鼻をかすめ、お腹が鳴る。匂いをたどれば食堂に着いた。だが、そこに隠しきれていないエースを見つけ、とっさにユーターンする。
 とうのエースは美味しそうな飯につられ、全く気づいていないようだ。
「……あっぶねえ、バレるとこだった」
「何がですか?」
「ほぎゃあああああ?!」
 いきなり後ろから話しかけられ、思わず叫び声を上げてしまう。一斉にこちらに視線を感じたが知らないふりをした。
「おおお、驚かすなよ!」
「す、すみません!」
 小声で叫べば思いっきり謝られた。身長はネオよりはるかに小さく、海兵の服を着ている。また、顔は目がくりっとしていて大きく、ずいぶん幼いように見える。髪は金髪で短い。小さな少年だ。びくびくとした表情から、下っぱなのだろうと勝手に判断する。
「いや、こっちこそいきなり叫んで悪かった……大丈夫か?」
 聞けば、笑いながら大丈夫です、と返してきた。きゅんって来た……! 何かきた!
「あなたもこれからご飯ですか?」
 首を傾げて聞いてくるものだから、きゅんっとなりながら首を横に振る。
「いや、俺は食べ終わったところだ。ところで、お前名前は?」
「僕ですか? 僕はシアと言います」
 おどおど言うものだから、そんな緊張すんなよ、と笑いかける。
「お前は食べに行かないのか?」
「い、いえ。僕は後で行きます」
 おどおどと言われ、怖がられてるのかと、考えていた時だった。がったーん! と、いきなり食堂が騒がしくなってきた。
 食堂を見れば、エースが海兵に殴りかかっている。それを見て、辺りは騒然としている。シアも目を丸くした。
「あっちゃー」
 ネオは頭を抱えた。








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