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「待てぇえぇぇええ!」
 静かな町に一人、食い逃げをしている輩がいる。白髭二番隊隊長、ポートガス・D・エースだ。ちなみに普段一緒にいるネオはいつものようにエースが寝ている間に一人そそくさと逃げたようだ。
 コックの格好をしたおじさんは懸命にエースを追っている。
 見えなくなった時には情報収集も忘れない。
「こんな体型で、髭を生やした男を知らないか?」
 あちこちに聞いて回ったところ、ある一人の男の情報を手に入れた。やっと見つけたと、意気込んでその男を蹴り飛ばせば人違い。そして食い逃げがバレ、川流しの刑にあったのが先ほどのはなしだ。


「ええ? 川流しの刑?!」
 そんな話をエースを探している際に聞いたネオは内心焦っていた。これはつまり、エース、死にかけてるよね。下手したら死んでるよ、ね。
 真っ青になっているネオをよそに、周りの人たちはネオに不審な目を向ける。
「あんた、あの男と知り合いなのかい?」
「え」
 食い逃げ犯の仲間ってことは共犯で捕まる? ああ、ピンチってことね、って、冷静に言ってる場合か!
「いや、ちが」
「お前は、あの食い逃げ犯と一緒に飯を食ってた……!」
 ら、らめぇえぇえええぇえ……!


 ということがあり、そそくさと川の下流を目指す。流れているという可能性がある。もしかしたらどこかに引っかかっているかもしれない。
「まあ、もしかしたらご愁傷様かもなあ」
 何て呑気に歩いていると、広い草原……いや、囲まれた柵の中に牛がいるところを見ると牧場か。
 そこの奥に一人の少女と男が何やら話をしている。それが一発でエースだと分かった瞬間、走り出していた。そして。
「馬鹿エェエエェエエェス!」
「ぐふぅっ!」
 飛び蹴りエーンド回し蹴り、ハート。
 横の女の子には迷惑がかからないように細心の注意を払ってエースに蹴りを入れた。地面にのめり込んでいる顔面から、かなり勢いのある飛び蹴りエーンド回し蹴りだったことが分かる。
 女の子は口に手を当て、かなり驚いている様子だ。立ち上がったエースが振り返り、何すんだ! と抗議の声を上げるのに対し、ネオは気分、と返す。
「気分で蹴るな!」
「まあ、ドンマイ」
 二人に置いていかれる女の子は笑う。笑われていることに気付いた二人は、顔を見合わせ、女の子を見た。すみません、と言いながらも笑う女の子。
「二人とも、仲がいいんですね」
 クスクスと笑う女の子にエースとネオも笑った。







あきゅろす。
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