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「あー暇あ……」

 海の上。殆どが海の上での生活ということでネオの飽き性がくるのは仕方がないこと。
 エースを使って遊ぼうにも、触れば進めなくなってしまうのだ。仕方がない。
「しょうがねえだろ……」
「ん?! エース、あの島に降りようぜ!」
 ネオが指差す先には、小さな島がちんまりと海の上に浮いていた。
 白い砂浜が印象的だ。

「あれは無人島……」
「行こうぜ! 海、泳ぎてえ!」
「聞けよ」

 溜め息混じりに言うエースだが、目をキラキラさせているネオの目を見て、下手したらこの船の進路を無理矢理でも変えられかねないと判断し、仕方がなく、無人島へと進路を変更した。





「気持ちいー!」
 海でバシャバシャと遊んでるネオを砂浜にしゃがんで眺めているエース。着替えがあるわけではないのに、はしゃいでいるところを見ると、そのこと自体を忘れているのか。
 深いところまで行き、潜っているネオを見ながら、ネオの言葉を思い出す。

『俺の能力は海に好かれてるから』

 海に嫌われてしまう悪魔の実の能力者。その、特別例外と言えるネオと違い、エースは泳ぐこと何て出来るわけがない。
 自分の手を見つめ、カナヅチという代償の重さを理解する。溺れた仲間、自分さえも助けることのできないこの手。
 急に影になり、顔を上げればネオが覗き込むように見ていた。

「どうしたエース、浮かねえ顔して」

 笑いながら言うネオに、エースは海を眺めながら何でもねえ、とだけ答えた。そんなエースを見、海を見たあと、ネオは手をポンっと手を叩いた。
「エース、手!」
「は?」
「手を出せって言ってんの」
 そんな有無を言わせないネオの言葉に、エースは手を伸ばした。その腕を掴むやいなや、海へと走り出した。

「おい! 俺は海には……」
「はあ?! 聞こえねえ!」
「だーかーらー!」

 そんなエースの言葉を無視しながら、そのまま深い海へと飛び込んだ。沈んで行く……エースは目を瞑ったが、身体がいつものように重く、沈んで行くことはない。
 上へと上がるネオに引っ張ってもらい、上がれば、浮いた。
「……何で」
「俺の天使の実の力だろ」
 ほらって、ネオが掴んでいた手を離せば、たちまち体から力が抜け、沈んでいった。
 目の前にネオが来て、助けるかと思ったが、手を横に突き出した。
 その瞬間、二人は泡のようなものに包まれる。息もすることができる。









あきゅろす。
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