ネオの言葉にルオン海賊団たちも手伝い始め、海賊と村人たちは協力し、村を作り直していく。そこに、海賊と村人の隔てなどない。そこにあるのは村を作り直したいという純粋な思いだけ。 作りかけの屋根の上、村人に言われ、休憩をしていたネオはとっくに暮れてしまった暗い空を仰ぐ。手にはボトルが握られており、喉を潤しながら、エースのことを思い出していた。 「こんなとこにいたのか」 後ろからの声に振り返れば、村人の一人、ショウが屋根の上へと登ってきていた。最初に怒鳴った村人である。 「飲むか?」 手に握られたボトルを差し出され、ショウは首を振る。ちょっと距離を置き、隣に座るショウを横目に、ぐびっと飲み干した。 「……悪かったな」 言葉を最初にかけたのはショウだった。 「あんなこと言って」 「……いいって、海賊ってのは恨まれる存在だって自分は思ってるから」 笑いながらネオが言うと、ショウはため息をつく。 「あんたの“大事な人”は大丈夫なのか?」 それはきっと、戦いの結果はどうだったのかを聞いているのだろう。飲み干してしまったボトルを眺めながら笑う。 「……大丈夫。どっちにしても絶対に助けるつもりだから」 その言葉を聞いた後、ショウは何も言わなかった。 * 「本当に助かりました」 この島に着いて五日。ほとんどの家が元に戻り、ルオンたちはこの島を発つことになった。ショウは船に戻ろうとするネオの腕をつかむ。 いきなりのことで転びそうになるが踏ん張りつつ、怒鳴ろうと振り返ると、目の前は真っ暗になった。顔に押し付けられたものを離すと、そこには見慣れた帽子があった。 「これって」 「あの戦いの後、拾ったんだ。これ、俺見たことあるぜ」 ショウは帽子を見ながらそう言った。 「あんたの大事な人のなら返してやれよ」 思わず帽子を持つ手に力が入る。ショウに笑顔で返す。 「ありがと」 エースの帽子をかぶり、船へと戻る。船に乗ると手を振る村人たちに手を振る。来た時と変わったバナロ島に自己満足をする。 かぶった帽子を握る。顔は帽子に隠れて見えない。 「おい、それ」 ルオンの言葉にネオはいきなり大声で笑いだした。全員が驚き、笑い出したネオに目を向ける。 「絶対に救い出してやる……待ってろ、エース……」 帽子を握る手が震えていたのに自分自身、そしてルオンだけはしっかり気づいていた。 |