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「目的地が見えたぞー!」

 そんな船員の声で目が覚める。ソファで寝転んでいたネオは甲板へと出た。
 船員のほうへ目を向けると一つの島に指をさしている。太陽のまぶしさに思わず、手で隠す。目を細めて見てみると、その島は無残な姿となっていた。実際はこんなさみしい島ではないというのは容易に想像できた。なぜなら、残骸がそこらに転がっていたからだ。
 この島は“バナロ島”。目的地であり、エースと黒ひげの戦った場所でもある。この残骸はその戦いの激しさを物語っている。
「ネオ……」
 後ろから声をかけてきたのはルオンだった。その声はきっと、この島を見て、エースのことを想像しているのだろうと容易に想像がつく。しかし、ネオは結果を知っている。それはきっと、自分がこの世界にいたとしても“ここにいる”時点で結果は動いていないと確信していた。そのため、対して動揺もせず、ルオンのほうへと振り返り、笑顔を向ける。
「……大丈夫、ルオン。ここへはエースを救いに来たんじゃないからさ」
「……?」
「エースは自分のことを家族と言ってくれた。なら、家族のしりぬぐいを家族がするのは当然だろ?」
 そう言ったネオの真意をルオンは全く理解できなかった。


 *


 島へと降り、早速目に入ってきたのは残骸となってしまった村。村人たちはその撤去作業を行っている。
 ネオたちが近づくと、全員怪訝な目で見る。こそこそと、海賊だ、また村を荒らされる、そんな声が聞こえてくる。ルオンはネオの後ろでその背中を見ている。すると、ネオは一番近くの残骸となった家に近づき、その残骸を拾う。そんな姿に村人は声をかけた。
「おい! お前何するつもりだ! こっちは海賊に荒らされて住む家をすべて失ったんだ!」
 村人の一人が叫ぶと、他の村人たちもそれぞれに愚痴を言い始める、しかし、ネオは掴んだ手を離さない。ルオンは名前を呼ぶ、すると、ネオはそんな村人たちに正面を向き、頭を思いっきり下げた。
「本当に申し訳ないです!」
 そう叫んだネオに全員が目を点にする。
「戦い、この村をめちゃくちゃにした一人は自分の家族に値する人です。大事な人の敵を討つためこんなことをしました。自分はこの村を直すお手伝いがしたくてきました」
 その言葉に村人はざわめき始める。
「信じられないのも無理はありません。自分は“海賊です”。でも、手伝わせてください、お願いします」




 


あきゅろす。
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