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 袋に入っていた薬を口に含み、軽く痺れたままの体をふらふらと動かし、荷物を持って街へと戻る。
 未だに残る痺れをもてあましながら船へと向かった。
 だいぶ遅くなってしまったことに舌打ちしながら早足で戻ると停泊していた船の下で、ルオンは待っていた。船の中から仲間たちが不安そうに見つめている。
 ネオはルオンに近づき、ただいまと、にっこり笑う。だが、何も言わないルオンに不審に思いつつ、もう一度、ルオン? と名前を呼ぶと、ルオンの拳がネオの頭に直撃した。
「ったあああ!」
 叫び、しゃがみこむネオに仲間たちはあっちゃーなんて声を揃えて言う。
 顔を上げ、ネオがルオンに何すんだよ! と叫ぼうとするが、ルオンの顔に思わず黙ってしまった。
 ルオンは静かに口を開く。
「そんなぼろぼろでどこに行ってた」
「え、あ……」
 ネオは自分の服を見つめる。戦闘のまま帰ってきたため服はぼろぼろ。電気によりあちこちは焦げ、血もところどころについている。
 これでは何があったか一目瞭然である。
 ネオはえっと……と言い訳を考えている間にルオンが言葉を続ける。
「お前にとって俺たちは利用している身かもしれない。だがな」
 そう言ってネオに背を向け、仲間たちを見つめる。
 ネオには表情は見えなかったが、その背中は寂しく写った。
「俺たちにとってお前は仲間だ」
「なかま……」
 ルオンの言葉に仲間たちが口々に声を上げた。
「そーだぜ! ネオ!」
「俺たちはお前を仲間だと思ってるんだ!」
「あんまり背負うなよ! ネオ!」
 仲間たちの口々の声にネオは目元が熱くなるのを感じた。
 ルオンは改めてネオの方へと顔だけを向ける。今度はきれいに笑っていた。
「だから、頼れ。お前がどのような生まれ、育ち、関係ない。俺たちにとってお前は仲間なんだ」
 その瞬間、ネオは口元を押さえた。込み上げてくるものを抑えるのに必死だった。
 気付かされた。エースだけではなかったのだ。自分の仲間は。
 何か伝えようと口を開けようとするが、一緒に込み上げてきそうで、唇を噛み締めるだけとなる。
 先に船へと戻ろうと歩き出したルオンは未だに立ち尽くすネオに行くぞ、と声をかける。ネオは荷物を置き、叫んだ。

「ありがとー!」

 新たな思いを乗せ、船はバナロ島へと進む。






あきゅろす。
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