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 船の上では、騒がしいこともなく、静かな時が流れていた。これはあくまでネオの予想だが、自分が入ったことでこの気まずい空気が流れているのではないか、と。
 だが、この空気を取り払うかのように部下の一人が叫んだ。
「せっかく新しい仲間が出来たんだ! 宴でもしようぜ、頭!」
 部下の一言は全員を騒がせた。頭と呼ばれたルオンはにやりと笑い、全員の意見に乗ることになる。
「宴だああ!」
 ルオンの言葉に全員が騒ぎ始める。料理は盛られ、酒が現れる。
 ネオは戸惑いながらも、ルオンに酒瓶を渡されれば、その場の雰囲気に飲まれ、イッキ飲みする。
 そうすれば辺りから歓声が上がった。
「いいぞ! 姉ちゃん!」
「もっといけえ! がはははは!」
 そんな笑い声に答えるようによっしゃ! と声を上げ、またイッキ飲みする。辺りは歓声と笑い声に一気に包まれる。
 そんな部下たちにネオは挑発するようににやりと笑った。
「俺と飲み比べしてみるか?」
 そんな挑発的なネオに部下のほとんどが片手に酒瓶を握り、立ち上がった。



「もういいのか?」
 ルオンの言葉にネオは笑う。
 ほとんどの部下はネオに潰され、船で倒れていた。
 そんな様子を端から見ていたルオンは隣に腰を下ろしたネオに問いかけたのだった。
「ああ、もう結構飲んだしな。それに比べるやつがいなくなっちまったし……ルオンが相手してくれるのか?」
 そう言って笑うネオにルオンは遠慮する、とため息をついた。
「お前に付き合ったららちがあかない」
「あははは、確かに」
 ルオンの言葉に笑い、コップに注いだ酒をちびちび飲み始めた。
 空には月が浮かび、二人を照らす。もうじき夜が明けるのだろう。海から太陽が現れ始めている。海が光る。
「そういえば、一度聞きたいことがあった」
「ん?」
 ルオンの質問にネオは相変わらずちびちびと飲みながら耳を傾ける。
「エースとはどこで出会ったんだ?」
「ああ……」
 月を眺めながら懐かしそうに目を細めた。
「俺は海賊に追われてたんだ。そしたら崖に落ちて……川に流されてたらエースに拾われたんだ」
 おっかしいよなあ、と笑うネオにルオンも笑いながらそうだな、と答えた。
「俺も聞いて良いか?」
「ああ」
 ネオはルオンをじっと見つめ、聞く。
「何で俺が女だって分かったんだ?」
 色んな意味で大問題なんだが、そう続けたネオにルオンも月を眺めながら目を細めた。
「俺の知り合いに似ていたんだ。そいつには娘がいると聞いていたからな、勘違いした」
 ルオンの言葉にふうん、と海を眺めると目的の島が見えた。
「野郎共、島に上陸するぞ!」
 ルオンの言葉に元気のない返事が返ってきた。







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