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「へえ、ミズミズの実ねえ」
「本当は死ぬんだけど、悪魔の実の弱点を消すことの出来る天使の実を食べたからまあ、生きてるんだよね」
 エースにはミズミズの実、天使の実についてを詳しく説明した。今後、共に行動するのなら絶対に知っておいて欲しいことをチェインに教えて貰った通りにエースに伝えたかったのだ。

「それってつまり、あれだな、悪魔の能力使えば天使の実の能力者だってバレるな」
「イエス、アイドゥー」
 指を指してそう言えばエースは呆れたような顔をした。
「……なら、使うな」
「何で?!」
「たまたま男顔何だ。それを生かして能力を使わないでバレないように行動した方が楽だろ」
 エースの言葉はごもっともだった。確かにそうだ。生まれつきの男顔を生かして、隠れるというのも手だ。
 まあ、なら何で能力貰ったんだよっていうツッコミはなしの方向で。

「いいな、お前は能力を使うなよ」
「うひー」
「……はい、だろ」
「はーい」
「……調子狂うな」

 とりあえず、と座り直したエースは背筋を伸ばし、にんまりと笑った。
 漫画で見た、あの、ルフィを思う兄貴のように。
「これからよろしくな、ネオ」
「ああ、こちらこそよろしく」









 あれからエースの船に乗り、違う島に向かった。ここはいわゆる無人島らしく、情報を得られないらしい。
 なんの情報かは分かっていると、エースは分かっていたのだろう。そのことに関しては何も言わなかった。

 どう見ても、一人しか乗れないような作りだったが、俺は帆がある棒の前に行き、その棒に寄りかかるようにして座った。 俺がエースに触れてしまえば、エースは能力が使えなくなるのだ仕方がない。
「お前、落ちるなよ」
「大丈ー夫。俺の能力は海に好かれてるから」
 笑って言えば、違いねえだなんてエースも笑って返した。

「島に着いたらどうするんだ?」
「飯を食う。腹が減っては何たらって言うからな」
「戦が出来ない、だろ」
「そうそう」
 笑えばエースも笑った。こんなに笑ったのは久しぶりだ……小さく呟いたその言葉は、エンジン音と共に海へかき消された。

 海を眺めながら、エースを眺めながら、自分の心がどれだけ汚いかが、分かる気がした。
 今後は自分も人を殺めなくてはならないときがくるかもしれない。だけど、まだ、自分の心は決意が出来ないでいる。エースが俺の変わりにとか、人を前に出し、俺は逃げてる。
 来る前は自分の力を適当に試そうと軽い気持ちだった。だけど、追いかけられて分かったんだ。死ぬか生きるかの世界だと。
 だが、俺はまだ、血を見ることが出来ないんだ。決意が、出来ないんだ。















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