立ち去ったルオンの背中を静かに見つめ、考える。確かに船は必要だ。水の中を自由に動けるのは確かだが、方向が分からない。行きたい場所へ連れていってくれるというルオンの利用価値は高い。
だが、もし、もしもあいつが悪いやつだとしたら? 革命軍の仲間だとしたら?
「……戦うのは不利だな。なら」
海に身を投げる。それを考える。
それより、何故、ルオンは女だと気づいたのだろうか。ネオは考える。
まあ、分かるやつには分かるのだろうと、それ以上深く考えなかった。
ルオンの言っていた道を進む。
ルオンの船と思われる船に着き、立ち止まる。船から飛び降りてきたルオンはネオの前へと立った。
「乗る決心は着いたのか?」
ルオンの質問にネオはにやりと口元を歪めた。
「それはこっちのセリフだ」
「どういう意味だ」
眉を潜めるルオンにネオは肩をすくめた。
「俺はお尋ね者だ。お前等海賊と違い、俺は"まだ"海賊じゃないのに、だ。それに」
「構わねえ」
ルオンは間髪入れずに言葉を返した。あまりの早さに今度はネオが眉を潜める番だった。
そしてルオンは船員の方へと目を向けた。
「なあ、てめえ等、俺たちはワンピースには興味もない。財宝にも興味はない」
「ああそうだ、頭」
「俺たちには仲間がいればいい」
「たまには冒険も良いんじゃないか?」
ルオンの言葉に誰もが疑問の言葉を投げ掛けた。
「財宝、ワンピース、そんなものに興味がない俺たちには少々刺激が少ねえ。なら"地雷"を所持すれば刺激が生まれるんじゃないか?」
ルオンの言葉に誰もが言葉を渋らせた。だが、とルオンは続ける。
「もし、こいつが何も俺たちに利益を与えねえなら、海へと投げれば良い」
船員たちは互いに目を合わせる。ネオは何も言わず、ただ立ち尽くしていた。
「文句あるやつは前へ出ろ」
沈黙中響いたルオンの言葉通りに前に出てくるやつは現れなかった。
*
「上手く逃げ出せたみたいだな」
チェインの言葉は、白い空間に響く。目線の先にいる二人の女。片方はただふんわりと微笑み、片方は腕を組み、やはり笑っていた。
「あれもチェインの力なの?」
「ふん、あれはたまたまか、それかネオのあちらでの運だ。もしかしたらエースかもな」
腕を組んだ女が聞けば、チェインは静かに返した。
「お前等の目的は」
「ふふ、願い、叶えてくれるの?」
ふんわりと女は微笑んだ。
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