ルフィの驚きにエースは未だニヤリと笑う。麦わら海賊団も驚きを隠せない。
「とにかく、コレじゃ話もできねェ。後で追うからお前ら逃げろ。こいつらはおれが止めといてやる。行けっ!」
そう叫んだエースにルフィは迷わず振り返り、行くぞっ! と、麦わら海賊団を連れ、無事に逃げる。
スモーカーはエースと睨み合ったまま、じりじりと距離を詰めるが、エースはニヤリと笑い、炎上網を引いた。
「じゃあな」
「参った。道に迷った」
所変わってネオ。船に向かおうとしたところ、残念ながらも道に迷ってしまったようだ。
「どうしよう……取りあえず、海兵に着いていけば、エースが炎上網を引く前に会えるはず!」
そう考え、走って海兵の騒いでいる方へ向かう。そこに、やっとエースの姿が見えた。ルフィはいない。
よっし、まだ炎上網は引いてない!
「エースっ……」
叫び声は炎上網の音と共に掻き消された。残されたネオの目の前には海兵。そして、スモーカー大佐。
「あ、あり得ねえェ!」
「お前は」
叫んでしまえばスモーカーが気付くのは当たり前だよね。
振り返ったスモーカーは俺にじりじりと近づく。多分、飯屋で隣に座っていたのを覚えていて、それで仲間だと勘違いをしていらっしゃるのですよね。はい、分かりますが、分かりたくねェ!
「お前も海賊か」
俺すげェ! 合ってたしっ!
「違っ、俺は海賊じゃないです」
ぶんぶんと顔を横に振っても、全く信じる気配なし。武器を手に、戦闘体勢に入るスモーカーは恐ろしい。
「だから、違うっ! 手配書見て! 手配書プリーズ!」
「あいつを捕まろ!」
「ぎぃゃぁああぁあ!」
エースのばっきゃろぅー!
またまたところ変わって麦わら海賊船。無事に船に乗り込んだ一同は、先ほどの助けた男の話で持ちきりだった。先ほどの男はルフィの兄貴、そんな話で。
「でも、今やったらおれが勝つね」
「それも根拠のねェ話だろ」
だはははと笑っているルフィにゾロがそんな溜め息を吐く。
「お前が、誰に勝てるって?」
そんなルフィを蹴り飛ばし、ルフィがいた場所を占領する男は先ほど助けられたルフィの兄貴であるエースだった。
飛ばされて転がっているルフィは振り返り、驚きながら叫んだ。
「エースーっ!」
「よう」
叫んだルフィににっこり笑うエースはどこか懐かしげだ。そんなこんなで、話し込んだエースはルフィに紙切れを渡す。
「ホラ、お前にこれを渡したかった」
「ん?」
「そいつを持ってろ! ずっとだ」
そう言ったエースにルフィは紙を広げるが何も書いていないただの紙切れだ。
「なんだ紙きれじゃんか」
不服そうに言ったルフィにエースは笑う。
「そうさ。その紙きれがおれとお前をまた、引き合わせる」
「へー……」
「いらねェか?」
「いや……いる!」
そう言ったエースはまた笑った。
だが、一つあることを忘れていたことに気づく。きょろきょろと船を見渡し、大きな溜め息を吐いた。
「ルフィ、この船に一人誰かが乗って来なかったか?」
麦わら海賊団はみんな顔を見合わせ、首を傾げる。エースは頭を抱えた。
一人、忘れ物に気付いたのだ。
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