「何でそいつを探しているんだ? 海賊だろう?」
親父さんの言葉にエースは笑う。
「そいつに用があ」
ばたん! いきなりエースは倒れた。ああ、やっぱり、俺の思った通りだ。
親父さんはいきなりエースが倒れたことに驚き、まさか、とエースから離れた。俺は構わず食べ続ける。
おい、離れろと、親父さんに言われるが、俺は聞こえないフリをする。
「何だ何だ?」
「こいつは旅の者だろ。砂漠のイチゴを食べたんじゃないか?」
「知らないってことは死を招く……」
そう、口々に言っているのが聞こえる。兄さん逃げろ、感染型の……何たらかんたらという声も聞こえたが、飯が勿体無いと食い続ける。まあ、エースの場合、この状態が日常茶飯事だからなあ……
その時。
「ぷほ?!」
「うわ! 生き返った!」
エースは生き返った。
俺はあからさまに溜め息を吐く。全く人騒がせな兄貴だ。
大丈夫? と近付いてきた女の人のスカートで顔を拭き、いやーまいった何て言うエース。
「寝てた」
「寝てたァ?!」
俺は慣れているからいつも通りの光景なのだが、普通の人から見たら普通ではないらしい。慣れとは恐ろしいものだ。
エースがコントを続けている間も、俺は食い続けた。だって、旨いんだもん!
「ところでおやっさん」
「何か用か」
事が落ち着き、茶を啜っていたとき、エースは本題に持ち込んだ。楊枝をくわえたままのエースは原作通り。俺がいる以外は。
「こんな奴が、この町に来なかったか? 麦わらかぶった……」
「よくもぬけぬけと大衆の面前でメシが食べられるもんだな」
そんな威圧感たっぷりの声で入ってきたのは予想通り。スモーカー大佐だ。以外とカッコいい……素敵なおじさまだ。
チラリと様子を見た後、俺はまた静かにお茶を啜った。俺はこれでも平和主義者何だ。
「"白ひげ海賊団"の二番隊隊長がこの国に何の用だ。"ポートガス・D・エース"」
そんなスモーカー大佐の言葉はあたりを騒がせる。白ひげ海賊団がどれだけ名が知れているのか、分からせた。
どよどよと騒いでいる周りと違い、エースは落ち着いていた。振り返り、にやりと笑う。
「……弟をね、探してんだ」
そんなエースの言葉にあたりはシーンとなる。睨み合いはまだ続く。
俺は溜め息を吐いて、事の成り行きを聞く。え? 関わらねえよ。めんどくさい。
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