アラバスタは暑かった。 どれくらい暑いって? 水分が蒸発して枯れてしまうくらいな! 俺の能力は水だから、死んでくださいって言ってるようなものだよね。 エースは暑くねえんだろうなあ。年中燃えてるような奴だし。 ということで、へばっていた俺は情報収集するエースに着いていくことが出来ず、宿で死んでから三日。 そろそろ、ルフィたちが来るのでは無いかと言う期待から、ナノハナへ向かうというエースの後ろに着いていった。暑さにやられている俺はううううー何て唸っている。さっき、やかましい何て頭を叩かれた。失礼な。エースと違ってこっちは暑さに弱いんだよ! 「とりあえず、ルフィを探すぞ」 「おー」 だらだらと後ろを着いていき、麦わらを被った海賊がいなかったかと、あちこちで聞く。俺はナノハナの宿屋で死んでいたが、エースは砂漠を渡ってルフィを探していた。 いい兄貴だと、心の底から思う。 「ルフィの事だからなあ……」 「飯屋行こうぜ、飯屋」 俺がそう催促すれば、それもそうだな、腹減ったしと、答えたエース。もしかして、もしかすると、スモーカーやルフィに! やっと、原作沿いだっ…… 「そういえば、ルフィって昔どんな奴だった?」 エースにそう聞けば、そうだな、と過去を振り返る素振りを見せる。 「世話が焼ける。心配ばかりかけるんだよ」 「やっぱりルフィは昔も変わらずだな」 「そういうお前はどうなんだよ」 笑いながら言うエースに、俺は静かに笑った。露骨過ぎたかな、と思ったときには遅かった。エースは眉を潜めていた。 「生きてたら、エースと同い年の兄貴が居たよ。馬鹿みたいに優しい兄貴だった。それだけ」 笑いながら言った。エースは相変わらず眉を潜めていたが、そっかと返した。飯屋に入る。ざわざわと賑わっている席から離れ、カウンター席に二人で座る。 この時、俺は左側に座った。そう、エースから見て左側に。 「とりあえず、食うか」 運ばれてきた食べ物を、それはそれは凄い勢いで口に含んでいった。もはやブラックホールだ。 もぐもぐと口に食べ物を含みながら言ったりもするもんだから、何言ってるんだかさっぱりだ。 「落ち着けよ、エース」 「んがっ……で、おやっさんよ、黒ひげと名乗る海賊がここらへ来なかったか」 さあなあ、と口を濁した親父さんに、俺はこれめっちゃ旨いですっ、と笑えば、それは良かったって笑ってくれた。 良い笑顔! 「どこにいるんだ……」 とは裏腹に、エースの顔は歪んだ。黒ひげの行方は未だに掴めない。俺はどこで手に入るかを知っているから、さほどがっかりもしなかったが。 |