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 気がついたときには変な奴等に囲まれていた。
 簡単に説明すると、照明が一斉に消え、真っ暗になり、背後に気配を感じたと思えば気を失い、気がついたときにはこのような状況だった。
 ちなみに拘束されているわけではなく、俺はどこかの一室の椅子に座らされている状況だった。
 正直言えば、逃げ出そうと思えば逃げ出せる。ただ、人数の問題だ。しかもここがどこだか分からない。視線を微かに動かし、辺りを確認したところ窓はなし、扉は一つ。扉の前に二人、自分の横に二人、後ろに一人、前に向かうように座る男が一人。
 俺の勝手な予想だが、多分廊下にも人はいるだろう。なんだこの絶体絶命状態は。
「あのー、俺に何か用ッスか……?」
 こちらに来てからやたらなんか捕まる。これは俺の経験不足なのか、エースがいるからと安心しきっているのか。
 目の前の男は普通に、普通に笑った。
 不愉快を与えない、そんな笑顔。
「いきなり君をここに連れてきたことをまず謝りたい、すまなかったね」
 紳士的な口調で穏やかに答えた男にネオは呆気に取られる。海賊が汚い、というのは失礼だが、あまりにも綺麗な服装は貴族をも思わせ、丁寧な口調はその考えに拍車をかける。海賊向きじゃない。むしろ素敵な伯父様だ。
「え、あ、いえ」
 だからそんな答え方をせざるを得なかった。
「君は今、火拳のエースと行動している。だが、火拳のエースには聞かれてはこちらには都合が悪くてね、無理矢理君だけを連れてきたんだ」
 相変わらず穏やかな口調の男に眉を潜める。
 そんなネオにああ、と何かを思い付いたように手をぽんと叩いた。
「名乗るのを忘れていた。私の名前はシジェル。革命軍の一人だ」
 男の言葉にネオはまた、呆気に取られた。




 ネオがいなくなった。
 それは理解できた。だが、意外と手練れのネオに声も上げさせず消えたことを考えると、相手もかなりの手練れのようだ。そして、これはエースの予想だが、停電もネオを連れ去った連中の仕業なのではないか。
 電気が普及した後、こっそりと飯屋を抜け、ネオを探しにかかる。だが、広い町だ。見つかる自信がない。
「……っくそ、ネオに話さなきゃならねえことがあったのによ……!」
 今までにない怒りに振り回されながらも町を駆け抜ける。だが、やはりネオは見つからず。こんなことなら町に出ない方が良かったのかもしれない、とまで考え始めた。
「そういえば……」
 先ほど、ネオを見ていたやつらを思い出す。もしかしたら、ネオは奴等に連れていかれたのではないだろうか。

「っくそ! あいつら締めてやる!」
 エースは町を走り抜けた。







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