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 夜。というより真夜中。二人は眠たい目を擦りながらも起きてきた。外は賑やかな音が聞こえる。
 ネオが窓を開けてみると、やはり人々がばか騒ぎをしていた。朝の静けさが嘘のようだ。
「おいっ、エース! 人がいっぱいいるぜ!」
 ネオが楽しげに声を上げれば、エースは横から窓を覗いた。
「本当だな」
「なあ、行ってみようぜ! 買い物だって必要だしな」




 二人は真夜中の道を歩く。だが、決して暗いということはなく、むしろ昼よりも明るいのではないか、というぐらい町は明るく照らされていた。
 人々はそれぞれ声を張り上げ、少しでも自分の物を買ってもらおうとする。
「エース、腹減った」
「確かに腹が減ったな……何か食うか」
 きょろきょろしていると、ある男と目が合う。エースはその男に見覚えがなかったが、その男は確かにネオを見ていた。エースに見られていることに気付いた瞬間、その場から立ち去ったのだ。
 エースは眉を潜める。ネオが賞金首だと知られているわけがない。今のネオは確かに男なのだから。
「どうした、エース」
 眉を潜めていたエースを不審に思ったのか、ネオが横から覗き込んでくる。
「あ、いや、何でもねえよ」
 明らかに動揺していたエースだったが、ネオはふーん、と返すだけで深追いはしなかった。




「頭! やっと見つけましたが、どうするんですか?」
 一人の男が先ほどエースを見ていた男に問いかける。質問に対し、男はにやりと笑みを浮かべる。
「決まってる、正体を突き止めてやるさ……あいつには興味がある」
 にやにやと怪しい笑みを浮かべたまま答えるが、だが、と続けその後腕を組む。
「火拳のエースに用はない。あいつが一人になったところを狙う」
 怪しい笑みを、明るい光が照らした。




 エースとネオは適当な食堂で夜中の飯を頂いていた。いつもの量よりも多い勢いで食べ続ける二人、と言ってもほぼエースが食べているのだが、そんな二人に視線が集まる。
「まあ、もっとゆっくり食ったらどうだ?」
 ネオの呆れたというような口調にエースは口に放り込みながら答えるものだから言葉にならない。そんなエースにネオはため息をつき、食べ終わってから喋れよ、わかんねえよ、とエースに伝えようとした。だが、辺りの照明は一斉に消えた。
 真っ暗で何も見えない。

「な、停電か?!」
「おいっ! 誰か電気つけろよ!」

 辺りがざわめきはじめ、エースは慣れない目を、先ほどまでネオがいた場所へと向け、語りかける。
「ネオ、大丈夫か?」
 だが、返事はなく、電気がついたときには、そこには誰もいなかった。









あきゅろす。
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