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 山の梺まで来たは良いが、登り方を考えていなかった。そう言えば、ロープウェイが一つだけあったっけ。

「……誰かに案内してもらうか」

 溜め息を吐き、人を探す。一人の男性が目に入った。大丈夫。あいつはさっき、俺を追いかけてきた奴じゃない。
 すみません、と声をかけるとびっくりしたように振り返り、何でしょう? と聞き返してきた。以外と好みだ。

「この国に、Dr.くれはという人がいると聞いているんですが」
「ドドドド……?! Dr.くれは?!」

 叫んだ男は好みじゃないな。顔崩れてるし。残念。

「いるはいるが、知り合いか?」

 じろじろと上から下まで舐め回す様に見るものだから、悪いかと怒った口調で言えばとんでもないっ、と慌てて返された。
 どんだけ恐れられてるんだよ。

「いや、用事を頼まれて……」
「死にたくなければDr.くれはの元には行かない方が」
「じゃあ、ギャスタという町を教えてくれ」

 そう言えば、男は眉を潜めた。まだ、何があるというんだ。
 ギャスタはDr.くれはが住んでいたところで、確かロープウェイが張られているはずだ。Dr.くれはが張ったロープウェイが。 男は指を指した。この道を真っ直ぐ行けば、看板が立ってるらしい。
 ありがとうと、にっこり笑って言えば、気を付けろよ、と一言言われた。
 ……やっぱり良い奴じゃないか!

 言っていた通り、真っ直ぐ行ったところに看板が立っていた。ギャスタを目指して歩く。少し行けば、町らしきものが見えてきた。

「あ、あれか」

 顔を上げれば、村人らしき人も見受けられる。きょろきょろとして、すみません、と話しかけた。

「Dr.くれはが住んでいた家はどこにありますか?」

 男は眉を潜めた。じろじろと足から頭まで舐め回すように見たのち、また、顔を見つめられる。
 ……気持ち悪い。

「Dr.くれはが住んでいた家なら、この道を真っ直ぐ行った町の外れだ」
「あんがと」

 逃げるように立ち去ろうとすれば、止められる。
 振り返らず、声だけで返事をした。

「お前、名前は」
「……」

 低い声。まるで、試しているかのよう。
 名乗っちゃいけない気がするっ……!

「……あー、ルヘン」

 女の勘で、適当に名乗ってみた。そうすれば、その男は何も言わずに黙る。目だけをそちらに向ければ、そいつはニヤリと笑った。
 本当に村の人?! 嘘だよね! こんな悪人が至らワポルもびっくりだよ! てか、現在進行形で俺がびっくりだよ!
 そうか、そう言って踵を返した男は、まだ、笑っていた。
 てか、あんた誰だよ!

「……他の人に聞こ」

 もう一度、他の人にDr.くれはの住んでいた場所を聞くべく、また、歩きだした。









あきゅろす。
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