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 サテライト。二人が着いた島の名前である。夜の街であるこの島の住民は、他の島の住民とは違い、昼夜逆転の生活を送っている。
 ちなみに二人がこの島に着いたのは昼。案の定、街はしん、としていた。
「……人がいない」
 ネオがきょろきょろしたところで人が現れる訳でもなく、二人は飯屋へ向かうべく、歩みを進めるが、やはり人はいない。
「おや、旅の人かい?」
 そんな声に振り返ると、老人が立っていた。
「この島に人がいないのは昼夜逆転の生活だからさ、夜になれば人が出てくる」
 疑問を口にしようとしたネオより先に老人は答えた。
 なるほど、と納得している二人だが、ネオはまた新たな疑問ができ、改めて聞こうと口を開こうとした。
「ちなみにわしがここにいるのは昼が好きだから」
 そしてまた先に答えられてしまう。
「ちなみにわしは宿屋兼、飯屋を営んでるんだ、よかったらどうだ? 海賊さん」






「よく俺たちが海賊って気づいたなあ」
 先ほどのおじいさんの宿で食事を取りながら、エースが疑問を投げ掛ける。するとおじいさんは笑いながら答える。
「背中さ」「ああ、これに気づいたのか」
 背中の刺青。一生消えない、エースの誇り。
「お前さんを見たことがある。確か、"火拳のエース"だったな」
「よく知ってんだなあ、俺は知らないよな?」
 笑いながら言う、ネオにおじいさんは笑う。
「お前さんか、いや、知っとる」
「……え」
 おじいさんの一言に、二人は固まる。女の姿ならまだしも、現在男装をしている状態だ。この姿で出回っているとしたらだいぶ面倒だ。
 怪訝そうに眉を潜めている二人におじいさんは笑う。
「下っぱってとこだろう?」
 笑って言うおじいさんに、思わず苦笑いだ。





「……何か下っぱって……」
「俺的には笑いが……」
 腹を抱えて大爆笑のエースにネオが睨み付ける。それに気付いたエースは堪えるが、余計に笑えてきたのか、肩が震えている。
「おい、黙れや!」
 そんなエースを蹴り飛ばす。
「いっでえええ! 今の本気だろ?!」
「いや、半分」
「今ので?! お前、マジで筋肉力まで男化してるだろ」
「やっぱりエース死ぬか?」
「遠慮しておきます」

 二人が口論している部屋は宿の一室。二人は夜にこの町の商店街にて買い物をしようと考え、昼はとりあえず寝るつもりだったのだが、二人が寝れるかは定かではない。







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