SS
2008-03-24(月)
不治でもいいの
「い、や…っ!」
「そんなこと言われても止めてあげない…それに、いつも誘うのは沙耶じゃん」
「やぁ‥っ、もう…きついよお‥っ」
「うるさいなぁ…あたしはまだ満足してないんだよ」
情事の最中、あたしは意地悪になるらしい。…まぁ、自分でも自覚してる。
沙耶は事が終わるといつも泣く。きっと、あたしが優しくないから。嫌なら、誘わなければいいのに。
…ほら、また泣いた。
「みーちゃんの、意地悪‥」
「嫌なら誘わないでよね?あたし、優しくできないんだから」
「だって、今日こそは優しくしてくれるかなって…」
「ふーん…?」
残念ながら、そんな日は来ないと思うよ。あたしの彼女が沙耶である限り。
「ねえ‥沙耶」
「なあに?」
シーツにくるまって寝転んでいる沙耶の目は、少し赤い。
「あたしは一生、沙耶に優しくできないよ」
ごめんね。意地悪なのが、あたしだから。今更優しくなんてできない。
「‥知ってるよ」
返ってきた答えは、意外な一言。
「みーちゃんの意地悪は治らない」
「じゃあなんで…」
懲りずに何度も誘うの?
「‥私、馬鹿だから…みーちゃんに意地悪されてもすぐ忘れちゃうの」
「は‥?」
沙耶は「よいしょ」と起き上がって、あたしの頬を優しく撫でる。少し、くすぐったい。
「それに‥私、みーちゃんが優しくならなくても、ずっと大好きだから」
「私、Mなんだよー」なんて言って、私の首に腕を回してくる沙耶が可愛くて、もう一度、意地悪したくなった。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
「みーちゃんの意地悪に耐えられるのは、私だけだよ」
「あたしは沙耶にしか意地悪しないよ」
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