SS 2008-03-22(土) 期待 「告白、されたの」 満席の喫茶店。窓側の席で、あたしは優にこう切り出した。 優はそれまでいじっていた携帯を閉じ、あたしを見て、少し笑った。 「で、どうするの?」 「え、と…それが、分かんなくて‥」 あたしに告白してくれたのは、大学の1つ上の先輩。いつも優しくしてくれて、人として好き。自分で告白するほど好きではないけど、告白されれば、付き合っちゃうかなってくらいの好き。 でも、あたしの、本当に好きな人は…目の前にいる優なわけで。 この恋は叶わないから、先輩と付き合って優を忘れるのもいいかもしれない。そう、思った。だから…最後の賭け。優が引き止めてくれるのをほんのちょっぴり期待して、喫茶店に呼び出し、今に至るわけだ。 返ってきた答えは、当たり前っちゃ当たり前なんだろうけど、期待してたものでは無かった。 「分かんないって‥何だソレ」 「だって、優‥」 本当は貴女が好きなんだもん。あたしの一番は、優だもん。 「私が色々言える問題じゃないよ。冷たく聞こえるかもしれないけど…自分で決めなきゃ」 うん、そうだよね‥。自分をしっかり持っている優らしい意見だな。 「わかった…ありがと‥ね」 泣くのを我慢して、精一杯、笑顔を作る。ここで泣いたら、余計に迷惑かけちゃうから。 「その…それでも、苦しいことあったりしたら…私のとこおいで」 優しく微笑みながら、優が言ってくれた言葉は、期待とは違うけれど。 あたしに今、一番必要な言葉。 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ 期待は所詮、期待。 [*最近][過去#] [戻る] |