日記 2015-04-16(木) 告白したら、公衆便所になった(台詞SSじゃないSS) 最後の一人が離れた瞬間、内股をどろりとした白濁が伝った。3人分の精液だから溢れ出て当然だろうけど、この不快感だけはいつまで経っても慣れない。 「あー気持ちよかった。また溜まったら使わせてくれよな」 便座を支えにして動けないままの俺と違い、素早く身支度を整えた男達はスッキリした様子で立ち去っていく。 足音が小さく消えていくのを確認してから、俺は備え付けのトイレットペーパーを巻き取ってケツに突っ込んだ。 狭い便所の個室でのセックス(しかも複数)は体力的に疲れるけれど、ゴムさえ付けない馬鹿の相手の時は後始末し易いからちょっとだけ助かる。 ……ほんと、強姦するにしても最低限の性病予防とかしないんだろうか。そういうのを気にしない馬鹿だから、便所で男の穴に突っ込むとかいう発想になるのかな? ほんと、世の中馬鹿ばっかりだ。 「いっそどっかで病気貰ってこようかなー」 貯蔵タンクにぶつけまくった後頭部がじんじんする。 ベルトを締め、洗顔の後念入りにうがいをしてから髪の毛をチェック……ああ、やっぱり横についてた。 濡れた髪を手櫛で整えながら便所から出れば、運悪くクラスメイトに遭遇した。 「……麻生」 俺の名を呼ぶイケメンクラスメイトの視線が、顔、髪、身体と移動する。 「な、何かあったのか?」 「どうして?」 「髪が濡れてるから……」 「ああ、途中で顔射する奴がいたから髪の毛についたんだよ、精液」 「せ…っ…」 想像してた通りの癖に態々驚くクラスメイトに呆れながらも、急いで教室に戻りたいので黙って横をすり抜ける。 俺の荷物がまだ教室にあるのが知れれば、戻ってくるだろうと待ち伏せする奴がいるかも知れない。今日はもう相手できる気がしないから、早々に帰りたい。 「麻生……っ!」 早足で急ごうとする俺の背後で、震える声が響いた。 「俺の、俺があの時喋ったから……っ」 悲鳴に似た声色に、指先がヒヤリと血の気を無くす。全部掻きだしたはずの穴からまだ何かが漏れ伝う気がして、意識的に下半身に力を入れた。甘い痺れが、痛みと一緒に俺の脳を侵す。 振り向いた俺はきっと、どんな表情も浮かべていない。そのはず。 「―――それで俺に、何て言って欲しいの?関わりたくないなら中途半端に罪悪感なくしたいとか考えるなよ」 「……っっ!」 だってもう、本当にどうでもいいんだ。 うっかりメールで告白なんて、馬鹿な事をした俺が馬鹿だったんだ。馬鹿だから動転したクラスメイトが友人に相談するとか考えなかったし、ソイツ経由でクラス中に広まって、あっという間に俺が男が好きだって学校中で噂になったからって、それは俺が馬鹿だったから。 これといって秀でた所の無い凡人がアイドルに告白なんておこがましい。周囲から疎外されるのは、まぁ想定内だったとしても……まさか強姦されるとは思わなかったけれど。 2回、3回と続いたら、もう抵抗する気持ちも無くなった。 今では立派な公衆便所だ。 ***** 誰もいないはずの放課後の教室には、なぜか人影がみえた。 最悪だ。 「よぉ、遅かったな。どっかでまた襲われてた?」 「関係ない」 鞄に伸ばした手を掴まれる。 初めて俺を強姦した男は、何故かやたらと俺に付き纏う。正直うっとおしい。ヤルならヤルで、さっさと突っ込んで消えて欲しい。 「そろそろ俺の専属便所になる気になった?」 「公衆で間に合ってます」 「ははは、相変わらず面白いなぁ!」 ちっとも面白くないこの会話は、強姦された日から毎日続いている。 また明日。 聞きたくもない言葉が消える事を願って、ガラスが震えるほど乱暴に教室のドアを閉めた。 [*最近][過去#] [戻る] |