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日記
2014-10-22(水)
これ、やる。お前欲しがってただろ。俺の・・・アレ・・・。

「これ、やる。お前欲しがってただろ。俺の・・・アレ・・・」

そう言って差し出されたのは、男性器を模した大人の玩具。所謂ディルドという物だった。
俺の、という事はこの太くて長い擬似ペニスはお前の勃起したソレなんだな、へー立派なモノをお持ちで……とか思う訳がなかった。

とりあえず殴った。

自分の擬似ペニスを持ちながら、片山は「へぶしっ」と後ろ向きに倒れた。
尻餅どころか後頭部から勢いよく床に倒れていったので、俺の渾身の一撃は大木みたいな大男にもそれなりのダメージを与えられたようだ。

「な、なんで!?」
「死ねよ」
「だって…みーくんが俺のが欲しいって言ったから」
「ぁあ?お前の股間触りながら『欲しい…』って誘ったら普通セックスしてぇ、お前のペニスを雌穴みたいにぶち込んで欲しいって性的なお誘いだよな?お前あの時、準備できたらねって言ったよな!?準備ってソレか?俺なんかとセックスはしたくねーけどお情けで等身大のペニスやるからコレで自分で慰めて満足しろってか!?なあ!?」

男の尻の穴なんて汚くて突っ込めないって遠まわしなお断りな訳か?
俺は同室の片山がずっと好きで好きで好きで好きで、男には興味がない片山が、この同性愛者だらけの学園の中で俺にだけは『みーくん』なんて懐いてくるから……俺だって、男なんて好きになった事もなかったのに、友情のメーターををふり切ってしまったのだ。
だって片山は、俺とだけ飯を食うし、俺とだけ大浴場に行くし、俺が後輩に告白されたら「俺より好き?」とか涙目で訴えてきたし、エトセトラエトセトラ……もしかしたら、って思うだろ?
大男だけれども天使みたいな空気を醸し出す片山は、周りからは若干浮きつつも大事にされていた。子供みたいな男が、それでもすごく好きだった。いや、腹立たしいことに今この瞬間でも、まだ好きだ。馬鹿にされて、胸の奥がジクジク痛んでも、怒りで目の前が真っ赤になっても、それでも好きだ。


「……準備できたらってのが、俺の尻のことだと思って…あの日から一人でアナル開発とかしてた俺はなんなんだよぉ…」
「みーくん…アナル開発って…」
「あ?お前のそのデッカイの入れるために、毎日自分で広げて緩める練習してたんだろうがっ。悪かったな!汚いケツの穴に入れて貰おうと必死で練習とかキモイことして!!」
「お尻に!?入れるの!?」
「尻じゃなかったらどこに入れんだよ!」
「男同士ってセックスとか出来んの!?」
「ぁあ!?」

片山が叫びながら自分のペニス型ディルドを握ったままで、勢いよく立ち上がった。
ピンク色の玩具を俺の鼻先にグイグイ寄せながら、鼻息を荒くしている。

「こ、これ、入るのかよ!?みーくんの…ア、アナルに!?」
「だから、その玩具入れて我慢しとけってお前が行ったんだろうがよ」
「違…っだってみーくんが俺のが欲しいとか言うから…まさか取ってあげる訳にもいかないし、なら模型みたいにして渡すしかないかなって…」
「男のペニス飾る趣味ってお前…俺はどんな変態だ」
「だってまさかセックスとか、思わないだろっ。い、今まで男同士で挿入出来るとか誰も教えてくれなかったし!」
「その辺は空気で察しろよ!」

どんだけ箱入りだったんだ。いや、確かに俺だってそんな具体的な話をこいつとした事なんて無かったけど。というか片山の手が俺のズボンを脱がしにかかっているのは何故だ。

「おい何してんだよ」
「セックス」
「な、なんで…っ?」
「みーくんとセックス出来るんだって思ったら興奮してきた…大丈夫、責任はとる」
「え…いや、ちょっと、さっきのテンションからこの流れは俺的にまだ付いていけねーっていうか…な、ちょ、え、ゃっ、おま…っ」



責任は、とって貰った。
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