心の臓に触れた棘
2010-12-27(月) とても意地悪な貴方 思い出す。胸を撫でる大きな手を。 少しだけかさついてて冷たい。手の平は自分のより広く、指先は長い。神経質だけどとても綺麗な指先が胸の突起に触れて捏ねる。その際に走る僅かな痛みが肌を栗立たせ、突起がムクムクと立ち上がる。指の腹で押し、そしてまた捏ねる。それを幾度か繰り返されると吐き出す息が熱くなる。 「…はぁ…」 立ち上がった突起を彼の舌先が舐める。ぬとりとゆっくり舐め上げ、唾液で濡らす。 「ん…っ」 少しだけ口角を上げて意地悪く笑む。赤い舌先が口の端から下唇を舐めたらキスして頂戴の合図。 絡めた舌先から唾液を与えられ口内で水音を生み出す。もっと奥まで繋げたくて項付近を撫でれば悪戯に舌先を噛まれる。それも腰に響く。 「ハっ、…ぁ、っ」 シーツを噛み締めて声を抑えようとしても脳内での彼の声が駄目ですよと咎める。 声を抑えては駄目ですよ。もっと聞かせて、いやらしい声、聞かせて。って子供宜しく強請る。そんな彼の甘い声が胸中に広がり心を満たしたのと同時に物足りないとはしたなく欲してしまう。 「…も、…さわ、…って…」 触って触って。胸ばかりを辿っていた手の平が焦らす様にヘソを撫で、腹部辺りで円を描く様に撫でた後、やっと下肢に触れてくれた。 「はあんっ」 ああ、いやらしい。 そんな声と共に含み笑いの音も聴こえてくる。想像上の彼はとても意地悪で本物にも勝ってしまうくらいだ。 くちゅくちゅと鳴る水音が夜の静かな部屋の中に響く。一護の耳にも、同じ様に響いては反響する。自身の手で自身の振るえ立つ性器を弄る。とても背徳的で恥ずかしくて惨めなのに。頭脳に刻まれた彼とのいやらしい行為が浅ましい行為を止めてはくれなかった。 そう、浦原には逆らえない。 一護は思いながら上下する手の平を激しく変える。まるで浦原本人に触られているみたく。 「ぁ、ア、ア、あっ!」 迫ってくる熱を解放する間際、腰が小刻みに痙攣し、気だるい心地好さと共に手の平がべっとりと精液で濡れた。 未だ荒い息の中、夜の暗闇に紛れる様に彼の煙草の香りが鼻腔を燻ったような気がする。 「…なに、…やってんだか……」 後に来るのが後悔と空しさだって知っている筈なのに。真夜中に持て余す熱は想像上の快楽を頭一杯に詰め込ませて神経をコントロールした。 マインドコントロール程馬鹿げた言い訳は無い [最近][過去#] [戻る] |