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心の臓に触れた棘
2010-11-23(火)
No music no life 2


目がキラキラするくらいの鮮やかなオレンジ色のヘッドフォンはイチゴのお気に入り。
エナメル質のそれが太陽に照らされる度キラキラ瞬くのでなんだか自分までもキラキラと光っているみたいだから。とても、嬉しい。
オレンジ色のヘッドフォンから溢れる様にして流れてくる音の洪水は、イチゴにとっては子守唄で、数多の音源を耳に内蔵されたシステムが拾い上げてコピー、そして中央部システムに導入され、反響してイチゴの口元から出て行く。

「おや、ビートルズ」
「きのうキスケがきいてたやつだよ!」
「発音も完璧」

小学3年生くらいの身長の見た目には子供な彼が今話題のVOCALOIDである。
ひょんな事から浦原の家へやってきた彼は最初こそ浦原を警戒したものの、音を与えていくうちに懐いて今では浦原が仕事で家を空ける時は駄々をこねて泣き出す始末だ。

「英語は誰に習ったんですか?」
「ネルだよ!」
「ああ。」

それは綺麗な発音だろうな。そう思って彼女にお礼をしなければと思った。

「ねえねえ、もっとうたってほしい?」
「うん。歌って欲しいな」
「じゃあうたうね!」

嬉しそうに笑ってイチゴは浦原の目の前に立って両手を命一杯広げた。
そして息を大きく吸った後、柔らかく音を出す。
綺麗な綺麗な柔らかい高音が浦原の耳を優しく撫でる。ああ、なんて綺麗に歌うのだろう。なんて嬉しそうに、幸せそうに歌うのだろう。どこか懐かしいメロディが耳から離れず浦原を包み込んだ。
歌が終わった後、子供は必ずこう言うのだ。

「ね!イチゴじょうずだった?」
「ええ、とても」
「じゃあごほうびくれる?チュってしてほしいの!」

ええ、喜んで。
浦原も微笑んで子供の柔らかなほっぺにチュと軽めのキスを贈るのだ。
これが浦原とVOCALOIDイチゴの日課である。









そして悪ふざけ第二弾← ほっぺにチュウはとても微笑ましいキスですよね。


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