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どうか、愛しいのだと言わせてくれ


2012-11-07(水)
溶けて混ざり合って夜になってひとつになって無になりたい。


キスの後に顎をつたって降りた唇はのど仏を柔らかく噛んでチュっとわざとらしい音を立てながらキスを落とす。ザワリと血液が循環する、首の辺りを中心に、うなじ付近がざわめく。これが快感だと人は言うと思うけれど、浦原のソレは違った意味で血を滾らせていく。怖いんだ、体は至って正直で心とは正反対な行動を示してみせる。
チュ、ザワリ。
正直者の体は恐怖を振動させて浦原の肩を掴んでいた手を震えさせる。びくり、なんだか情けない程震えてしまう。
キスの後で浦原が呟いた。
怖い?
低くて甘い声だ。少し切羽つまった感じの声の出し方、金色の瞳がかわいそうなくらい真っ赤に真っ赤に染まって一護を下から見つめている。その瞳にチクリと胸が痛んだ。
怖くない、怖くなんてないよ。
震える情けない腕で浦原の頭を抱えてくしゃりと金髪を乱して良い子良い子と繰り返して額にキスを贈る。嘘を吐いたのには理由があった。
震える程、彼の本能と牙が怖くても、恐怖に勝るのが恋情だからだ。だから一護は少しの嘘を吐いて浦原を抱き締める。
スウ、っと赤の色が瞳から消えて寂しいくらいの金色に変わって浦原は一護を見る。
ごめんなさい。
小さく呟いて夜が更けるのを2人でじっと待った。












夜の闇に溶けてひとつになれたら良いのに。


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