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DIARY
2012-05-11(金)
Lunatic Pieces 外伝

町外れにある丘から眼下に広がる静寂に包まれた町を見つめながら彼はふと先日の事を思い出した。

腹が減って行き倒れになりそうになりながら辿り着いたこの町で一人の娘がパンを差し出し助けてくれた。
飛びきり笑顔が素敵な娘だった。
どうやらパン屋の一人娘らしく近く結婚予定だとか何とか。
そんな事を一通り調べつつ、その娘に近付いていった。
無一文だった彼を娘はよくしてくれた。
ある日、彼は日頃のお礼がしたいと家にお邪魔した。
そして彼は事に及んだ。

思い出すとまた笑みがこぼれた。
あれは楽しかった。
肉塊がグチャグチャと音を立て崩れていく。
真っ赤な鮮血が花火のように飛散し、たちまち部屋を染めあげていった。
温もりが残る返り血、恐怖に叫び震える声、手に残る感触…その全てが最上級の快感だ。
最後に残しておいた娘の顔ときたら、それはもう絶頂せんばかりの嬉しさがこみ上げた。
少しずつ舐め回すように…まずは指を…次は腕を…。
あぁ…たまらない…。
つい数分前まで笑顔だったのが恐怖に染まっていく。
その変わりようが彼にとって何よりの至福の瞬間だった。
千切れた肉塊を拾い上げ、鮮血に染まった部屋に最後の飾り付けを施す。
翌朝、異変に気づいた町民達がそれを見たときの反応もそんな彼にはたまらない時間だった。

幸せが絶望に変わる時の顔、気持ちをより実感する為に標的に近付き調べ上げる。
それが彼の行う殺しの常套手段だ。
暫くはこの町に居座り楽しむとしよう。
平和に暮らす町が絶望に変わるその様を間近に感じよう。
あぁ…これからの事を考えるだけでイキそうだ。
彼は空を見上げる。
闇夜に浮かぶ月が今日も輝いていた。
この力のおかげで俺は好き放題出来る。
退屈な毎日から解放される。
さぁ、宴の始まりだ。

「ははは…あははははは…!!」
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