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memo
2019-10-24(木)
バスソルト 番外編

秀+副会長




「お?」

生徒会室で仕事をしていると、静かに部屋のドアが開いた。
姿を見せたのは副会長の長月。
転校生藤宮ヒカルのゴタゴタがあってからというもの、長月は長い前髪で顔を隠し、目立たないようにひっそり過ごしていた。奴なりにも色々と後悔してもしきれないのだろう。それでも生徒会の仕事はしっかりとこなしていた。
そんな長月だが、現したその姿はいつもと違っていて。

「髪切ったのか」

長く鬱陶しかった前髪がバッサリと切られていて、そのお綺麗な面を晒している。

「ああ、うん」
「!」

うん、だって?あの長月が。いつも嫌味ったらしく敬語を崩さなかった長月が、うん、だと。

「いいんじゃね。さっぱりして」
「…そうかな?ありがと」

長月は少し困惑気味に、髪を耳にかける。
ほんとどうしたのこいつ。以前は不遜で高飛車な王子様。最近は暗くてジメッとして、声を聞くこともなかった。それがどうしたのだろうか。少し明るくなった気がする。

「なんか心境の変化でもあったのか」
「まあ、そう、かな…」

そういやこいつとこうやって普通に喋るのって何年ぶりだろうか。小学生の時とかはまだ喋ってた気もするけど。

「よかったじゃん」

素直に率直にそう思った。もちろん俺もだけど、長月も相当転校生がらみで馬鹿やらかした。けど、これからもずっと人生は続く。ずっと俯いたままではいられない。

「神戸も、変わったよね」
「そかー?」
「うん。とっても良いと思うよ」

少し微笑む長月。本当に何か憑き物が落ちたようだ。誰かの影響なのだろうか。あの長月をこんな風に変えられる誰かはすごいなと心から思った。
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