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武田家の日常  武田さん家の日常風景です。大体季節小ネタ。 半分はやさしさ、あとの半分は汗と涙でできております。
2010-03-30(火)
虎の宴・五 良き宴でござった。

「佐助ー!何処におるのだ、佐助ー!」

幸村は未だ武田の敷地内を駆け回っていた。

遠くで見守る迷彩服の忍ひとり。
(呼ばれて簡単に出る訳ないでしょうが・・・。旦那のお馬鹿さん。)

「佐助ー!佐すうわっ。」
塀の曲がり角でぶつかった相手は、同じくして佐助を探す政宗であった。
「その様子だと、まだ見つけてねえようだな。」
「貴殿の方もでござるか。」
お互い少し安堵してはまた別々の方へと向かった。

「佐助・・・。」

幸村の脳裏にふと、佐助の言葉が蘇った。

“旦那なら見つけられるでしょ”・・・。

「俺、なら・・・?もしや・・・」

佐助と稽古をする庭、道場、それから自室にも戻った。
「・・・俺と普段居る場所に居るという意味かと思ったのだが・・・。」

これ以上の宛ても無く、幸村はついに縁側に座り込んだ。

「佐助ぇ・・・・・・。むぅ・・・。」

ふと
背中に体温を感じた。
ああこのぬくもりを知っている、そう思った。

「・・・さんざん捜したぞ。」
「・・・旦那なら見つけられるって言ったでしょ。」

振り返らなくてもわかる。

「ずっと俺の傍におったのだろう。」

ああ、お前が居る、と。

「だから旦那ならって言ったじゃない。」

幸村は振り返って彼を掴もうとした。





「捕まえたぜ、忍!!」
次の瞬間、政宗の両の腕が、しっかりと佐助を捕らえていた。

「げっ独眼竜の旦那!?しまった、俺様とした事が油断してた!」
「ま・・・っ政宗殿・・・!?いつの間に・・・!!」
「Ha,スキだらけだったぜ?アンタも忍も。」
「しまった・・・!つい佐助の存在に安心して・・・」

「そこまでよ!」
何処からかお館様が現れた。

「見事じゃ伊達の子倅よ。優勝はお主のようじゃのう。」
「おめでとうございます政宗様。」
「Take it easy!早く品を渡しなオッサン。」
「そう逸るな。そんなにも宝が欲しゅうとは、ワシも嬉しいのう。」

「む・・・無念・・・。」
「真田の旦那ー元気出しなって。」

お館様から品を受け取ると、政宗は項垂れる幸村の前で仁王立ちした。


「真田幸村・・・これはアンタにやる。」
「な、なんと!?」
「オレからのpresentだ。最初からそのつもりだった・・・。アンタの喜ぶ顔が見られれば、それで十分なんだよ。」
「政宗様・・・、ついに・・・想いを告げられましたな!」
傍で小十郎が涙ぐんでいた。

「政宗殿・・・・・・・・・!」

「真田幸村・・・・・・。」

「・・・政宗殿、某への気遣いは無用でござるよ。」
「What!?」
「この虎のふんどしは、確かに政宗殿が手に入れられた物。某は勝負に負けたが故、どんなに欲していようと受け取る訳には参りませぬ。」
「だから、オレがくれてやると―――」
「政宗殿はお優しい。しかし某、もっともっと強くなっていつか貴殿に虎のふんどしを賭けた勝負を申し込みたく・・・!」
「聞けって!」
「故に、その日が来るまで・・・そのふんどしをお館様だと思い、大切に身に着けていてくだされ!」

「!!!!!!」

「なんだー?独眼竜の兄さん。あんたそんなに甲斐の虎を慕っていたのかー。」
「初耳だな。」
「我には解せぬ。」
「ふふっ。ひとのしゅこうにとやかくいうものではありませんよ。」

「こんな時だけ集まって来るんじゃねぇ!!おい真田幸村!おい!!」

伸ばした政宗の手にはしっかりと、先ほど渡された生暖かいソレが握られていた。



その後の伊達家。

「――政宗様、まだ甲斐の虎の褌を所有なされていたのですか。」
「これを持っていれば、アイツが会いに来るんだろ・・・?」
「政宗様・・・。なんと健気な・・・。」

そして暫く、虎の褌は伊達家の家宝として語り継がれたという。



<虎の宴編・終>



「虎の宴・五 良き宴でござった。」へのコメント

By 政宗
2010-04-10 21:31
>雛神楽 (殿)

・・・おい、何がおかしいっ!
まあ、あの天然のせいで思ったようにはならなかったが、次またtryすりゃいいんだ。
アンタも見ててくれるんだろ?
・・・だから笑うなっ!
pc
By 雛神楽
2010-03-31 07:16
ぷっ……くくく……
幸村さん、こういうときに限って無駄に大人です。
筆頭にはご愁傷様としかいえません。
でも私は筆頭が変態でないことを信じていますから!
……………………ぷっ…くく…
pc
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