武田家の日常
武田さん家の日常風景です。大体季節小ネタ。
半分はやさしさ、あとの半分は汗と涙でできております。
2009-12-24(木)
“参太”殿の贈り物
「佐助、何と今晩は特別な日らしいのだ!」
「はい?」
「一年間良い子にしていた者にだな、夜眠っている間に赤い服の髭を生やした男から贈り物が渡されるという異国の文化が・・・。」
「また独眼竜に変な事吹き込まれたの?」
「男の名を、確か“参太 苦労す”と言っておられたような・・・。」
「まーた疲れが滲み出てる名前だね。」
「・・・しかし・・・。俺は未だかつて十六年間、一度も貰った事が無い・・・。俺は・・・そんなにも悪行を重ねてきたのであろうか。」
「旦那は十分良い子だと・・・。」
「赤い服の、髭を生やした男じゃと・・・!?ワシの事か!!」
この様子をまさかお館様が聞いておられたとは思いもしなかった。
「知らなんだ・・・。世の中にそんな風習があったとは・・・。」
夜が更けて。
(今年は・・・今年こそはお出でになるであろうか・・・。)
風習を知ってしまってから、今日の夜が近づく程に胸が高鳴っていった。
いかん、政宗殿の話では起きていてはならぬそうだ。
もう寝よう・・・。と目を閉じた。
とその時、微かに人の気配がした。
「・・・む!そこにいるのは誰だ!!」
大柄な男が部屋の前で仁王立ちしていた。
赤い服・・・髭を生やして・・・
「・・・まさか、参太殿!?」
「如何にも。」
・・・は!!
起きてしまった。せっかく参太殿が俺の元に来てくださったのに。大人しく眠っておらんと参太殿から贈り物が頂けぬ・・・!!
俺は急いで布団の中へと戻った。
「ね・・・眠らなければ・・・眠っておらなければ贈り物が・・・!!」
ぎゅうと目を瞑った。
「お前の欲しい物とは何じゃ。」
「・・・!!」
欲しい物・・・。そういえば、俺は何が欲しかったのであろう?
俺は・・・
「・・・某は・・・何も要りませぬ・・・。欲する物があるとすればただ、お館様の天下のみにございます・・・。」
俺は目を瞑ったまま参太殿の問いに答えた。
「ワシが問うたのはお前自身の、欲しい物じゃ。」
「・・・・・・?」
「お前の欲はまことにその程度なのかと聞いておる。幸村よ、お前はこの先どう在りたいのか?」
何故であろう、とても落ち着く声だ。お館様に似ておられるからであろうか・・・。
「お館様のお傍に・・・仕え・・・・・・某も・・・・・・いつかは・・・」
それから先の事は、よく憶えてはいない。
「・・・幸村、この一年、よう頑張った。これからも精進致せ。」
参太は眠りについた愛弟子の頭を撫で、静かに部屋を出て行った。
「うおおおおおお!!」
「何、どしたの旦那?」
「見ろ佐助!朝起きたら枕元に新しい槍が・・・っ!!」
「ぅお館様―――――!!!!」
「おう幸村か。」
「おはようございますお館様!!あの、あの、」
興奮して、思わず礼の言葉が出そうになったが・・・
否、槍を下さったのは参太 苦労す殿であってお館様では無い。とても似ておられたからとつい・・・。
「お館様!あの、某に稽古をつけてくだされ!!」
「うむ!よう言うた幸村!!」
参太殿の槍に、相応しい男になる為に。
「“参太”殿の贈り物」へのコメント
By 参太(信玄)
2010-01-06 00:20
>晶華殿
うむ・・・。お主は中々良い行いをしておったようじゃのう。
褒美としてワシが直々に稽古をつけてやろう。
・・・かかって来ぬのか?ではワシから行くとしよう!!
pc
By 佐助
2010-01-06 00:13
>碧歌ちゃん
え?俺様?
へへっ照れるね。・・・まぁ、碧歌ちゃんがどうしてもって言うなら断れないな。
今夜忍んで参るから、窓開けといてくれる?なーんて。
pc
By 碧歌
2009-12-26 01:01
お館様ーな参太殿もいいけど、
佐助が参太殿になって現れないかな(^o^)v←
佐助ーな参太殿がいいなぁ…vv笑
可愛らしいお話ご馳走様でした!!笑
930P
By 晶華
2009-12-25 08:03
か、可愛い・・・・!!
いいなぁ、参太殿・・・・・私にも来ないかしら・・・・(遠い目)
W52CA
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