SS×Short Short
2009-05-27(水)
if −H×T−
『ねぇ、もし貴方が先に転校してたら、どうなっていたと思う?』
『…はい?』
『どうなったと思う?』
『……俺は−−−』
−if−
「なぁ、俺がもし先に転校してきてたら、どうなったと思う?」
「へ?どうなったって、何が?」
「いろいろと」
今日学園長に言われた一言。
ふと口に出したその疑問を、弟・小狼はうーんと唸りながらまじめに考え出した。
そんな弟を横目にコーヒーを飲みながら、小龍は言葉を待つ。
「兄さんが先に転校してたら…バレンタインが大変そうだね」
「お前の方がもらってただろう」
「バスケ部が春の選抜で勝てたかもしれない」
「あぁ…転校前の大会か」
「百目鬼君やユゥイ先生ともっと仲が良かったかも」
「別に仲が良いというわけでは…」
「あとは…」
「あとは…?」
「兄さんとさくらが、付き合っていたのかもしれない」
すぅ、と一呼吸おいてからの一言。
「俺たちは、そっくりだから」そう呟く小狼の横顔に、いつかの自分を見た気がした。
そして思い出すのは、この質問を投げかけたときの学園長の微笑み。
無意識のうちに俺の気持ちがシンクロしてしまったような気分。
「なーんてね!兄さんはどう思う?」
「………」
「…兄さん?」
「…俺が」
「…ん?」
「俺が先に転校してたら、やっぱりお前よりバレンタインは少ない」
「兄さん断ってたからね」
「春の選抜は、俺一人くらいじゃ変わらないよ」
「そんなことないよ。兄さんレギュラーだろ?」
「百目鬼や先生とは…よくわからないが」
「仲良いよ、兄さんと2人は」
「そして…」
「…そして?」
「俺とさくらは、絶対付き合ってない」
きっぱりと言うと、カップを持って立ち上がりながら、小狼の頭をぽんと叩く。
小狼はぽかんとした表情で俺を見上げていた。
「さくら曰く、『小狼君と小龍君は違う。ちゃんと分かる』らしいぞ」
「兄さん?」
「さくらが好きなのは、『小狼』…お前だよ」
頭に置いたその手を、わしゃわしゃと子犬を撫でる様に動かす。
驚いたように目を瞑る顔を見て、満足げににやりと笑った。
「確かに可愛いけどな、さくらは」
「…へっ?」
「双子の好みは似るものだし」
「に、兄さーん!?」
「おかわり、いれてくる」
さっきとはまた違った意味でぽかんとしている小狼を見て、噴出しそうになる自分を何とか耐える。
空になった青と緑のカップを、カタンとシンクに置いた。
小狼は鈍いから、たぶん無意識だろうけど。
きっとどこかで、俺と同じことを思っていたのかもしれない。
『ねぇ、もし貴方が先に転校してたら、どうなっていたと思う?』
『…はい?』
『どうなったと思う?』
『……俺は、何も変わらなかったと思います』
学園長に聞かれたとき、あの時の、俺の答え。
それは多分、間違っていないから。
早いとか遅いとかで、違えるようなものじゃない。
時間なんて、問題じゃない。
もっと大事なのは、その存在自体。
「…それにしても、学園長はどこまで分かっているんだ?」
−if−
(もしもなんて 存在しない世界だから)
−−−−−−
『ヒミツ』の別バージョン、続きといいますか、なんとなく書いてみたくなったホリツバ兄さん小説。
双子の友人の話を聞いてたら浮かびました。
息抜きに書いたのでいつか完成させたいなー。
ちなみに小狼はまるっきり兄さんの恋心には気付いてない設定です。
「if −H×T−」へのコメント
By つんく
2009-05-30 18:09
〜続〜
そしてまたまた知っての通り好きな人との違いが見えてきて、凄く揺れるけど向き合うことに決めて、新しい未来を歩いて行こうというまたまた出て来た単語のシチュエーションでハッピーエンド(?)を迎える話しを思いだして、軽蔑するつもりはないんですが一般的にはしばらくあとにそのことに気付いて迷ってしまうことが多いと思うんですよ、けど最初はすぐには見分けられなくも違いに気付いて一人の人間として見てくれる人がいることはその人にとって凄く心の支えになると私は思うので、さくらちゃんだけじゃなく、きっと周りの仲間達もそう見てくれていると思っているので、なかなか学べないことを教えて下さってありがとうございます+゜+゜そして小龍君の言ったことも決して間違ってないと(私は)思います+゜もし先に転校していて関係が変わってしまうのならおかしいと思います(x_x;)そして小説にも書いてあったように、早く転校していたからこうだとか遅かったからなんて関係無いと思います(;_;ではいつも長くなってしまい本当にすみませんm(__)m次の小説も楽しみに待っています(^v^)+゜頑張って下さい(>_<)☆☆ この辺で失礼させて頂きます<m(__)m>
W52S
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By つんく
2009-05-30 17:37
初めまして、ここに書き込みするのは初めてなんで一応『初めまして』を使ってみました(^^ゞ
私はこれまでホリツバを知ってさくら×小龍君カポーが好きだったんですが、この小説を読ませて頂いてちょっと今までの考えが恥ずかしくなっちゃいました;;
私も、もし小龍君の方が先に転校していたらどうなったと思うか考えたことがあるんですが、結局曖昧になっちゃって答えにたどり着けなかったんです(でも↑で書かせて頂いたようにさくら×小龍君よりなんでどうなっていたかは分からないんですが心の奥底で少し期待していたかもしれないです)
ですがこの小説を読ませて頂いて、よく双子の片割れを好きになって、でもその人は死んじゃって、そしてもう一人に出会って双子の傾向としてやっぱり双子は色んなところが似ているじゃないですか、そしてもう一人を通して死んでしまった好きな人を重ねてしまってっていうシチュエーションが漫画でもあるじゃないですか(?)←
(双子じゃなくても分かっていると思うんですがそっくりな人でも)
W52S
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